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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 「男の戰い」のあと

映画 アニメ エヴァ

 ヱヴァQ再見。前回みた時は、内容はあんまり理解できず、ファイナル・インパクトのインパクトもあって、早く完結編が見たいという気持ちが強かったが、今回は単体でもかなり満足。その要因はやはりあの美しいラストショットと「桜流し」にある気がする。もうこれで完結でも俺は一向に構わない、そんな気分になった。

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 さてヱヴァQの物語であるが、完全にアンチ「ヱヴァ破」の構造になっていると感じた。ヱヴァ破でシンジ君は非常に「男らしい」決断をして綾波を救い、多くの観客はこれを見てこれ以上ないカタルシスを感じたわけであるが、Qでその決断の結果とんでもない事態になっていることがわかり、シンジ君と観客は冷や水をぶっかけられた気分になる。

 このアンチ破、いわば「男らしさ」の否定こそがQの描くテーマなんじゃないか。キャラクターの描写を見てもそれは明らかだ。艦長として冷徹かつ果敢にふるまうミサトは大変かっこいいし、マヤも頼りない男性職員との対比で強かに描かれている。

 ヴィレの新キャラたちは更に露骨だ。ピンク色の髪の北上ミドリは強気なギャルで、上官の男性にも平気で反論する。ヴンダーを操る長良スミレは言葉少なではあるが、操縦している姿はかっこいい。一方で若い男オペレーター多摩ヒデキは、マニュアルを逐一確認してコンソールを操作する姿が几帳面で、どこか頼りない印象を受ける。CV大塚明夫氏の高雄コウジは頼りがいのあるおっさん然としているが、上記の北上に論駁され口ごもるなど、やっぱりなんとなく弱い。加持不在の理由もそんなところにあるんじゃないかな。加持さんを頼りない、情けない男として描くのは無理でしょ。

 エヴァのパイロットたちの強さは言わずもがなである。話はそれるが、この二人の信頼関係というか、阿吽の呼吸を感じさせるアクションシーンの演出は秀逸。14年という月日の重さを、観客に感じさせるのが上手いなと感じた。

 

 というわけで、「男らしさ」はQで全否定されたわけであるが、「男らしさ」の否定の先に何が提示されるのか。エンタメ展開は見たいけど、また破みたいなマッチョな展開に回帰するのも納得がいかない。「男らしさ」を肯定することはせず、シンジ君の物語に蹴りをつけ、観客を満足させるとなると、着地点はどこになるのやら。

 

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