宇宙、日本、練馬

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鈴木謙介『カーニヴァル化する社会』を読んだ

  

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

 

 

 鈴木謙介カーニヴァル化する社会』を読了。2005年に出版された本だが、8年の時を経てもなお、説得性のある現代社会論だった。ニート・フリーター問題、日本の監視社会化、携帯電話という三つのトピックから、現代社会の在りようを描きだしている。

  特に印象的だったのが、ニート・フリーター問題を取り扱った章だ。若者の労働への態度を、「躁状態と鬱状態への分断」と捉える筆者の分析はかなり的を射ているのでは。いわゆる「燃え尽き症候群」を、社会的な文脈から見事に捉え直していると感じた。

 著者はニート・フリーター問題の一つの要因として、親世代と子世代の相互の「たかりあい」を指摘している。これは『東のエデン』を通じて神山健治が提示した日本の構造と、かなり重なる部分があるなと感じた。鈴木氏は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のBlu-ray Boxで神山監督と対談していたりと、何かと縁のある人物だとは思っていたが、この点はもろに影響されているよな。

 

 全体として、三つのトピックから「カーニヴァル化する近代」という概念を引き出しているが、その論理展開をいまいち追えなかったことに反省。いつか読みなおそう。

 

ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで (NHKブックス No.1207)

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ウェブ社会の思想―“遍在する私”をどう生きるか (NHKブックス)