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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

鈴木謙介『ウェブ社会の思想』を読んだ

 

ウェブ社会の思想―“遍在する私”をどう生きるか (NHKブックス)
 

  鈴木謙介『ウェブ社会の思想』を読了。  『カーニヴァル化する社会』で示された「宿命論」を受け入れて鬱状態と躁状態を絶え間なく往復して生きる人間像を継承しつつ、さらにそれを乗り越えるための、ある種の希望を提示している。

  ウェブ社会の展開の様子から、鈴木氏の思い描く現代社会像、「カーニヴァル化」した社会を提示する議論の手際は見事。前著で示した鈴木氏の議論が、確かな現代社会観に裏打ちされたものであると再確認した。

 本著で鈴木氏が、「宿命の島宇宙」の外に可能性を開いていく方法として提示したのは、「関係することへの〈宿命〉」を自覚し、それを受け入れていくことである。それこそが、異なる現実への可能性を開いていくのだと鈴木氏は主張する。「成長があるからこそ希望がある」という言葉には、シンプルだが力強さがある。

 

 絶望的ともいえる宿命論に対して、鈴木氏はそんな答えを一応は提示したわけだが、その縁としたのは西尾維新の「戯言」シリーズであった。やっぱり、サブカルチャーには自分の生き方を変えるための、ひいては現代社会を変えるためのヒントというか、そんな可能性があるように思う。鈴木氏が提示した「カーニヴァル化」した社会に、どう立ち向かうのか。作品にふれるとき、そんな視点を忘れずにいたい。

 

 

ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで (NHKブックス No.1207)

ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで (NHKブックス No.1207)

 

 

 

サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)

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