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『マン・オブ・スティール』 超絶アクションと丁寧なドラマ

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 『マン・オブ・スティール』を3D・吹替え版で観た。ストーリーの語り口は重厚で、予告編で見せたアクションシーンも期待以上の迫力だったので大満足。新たなスーパーマンシリーズの始まりを感じさせるこの作品の誕生に立ち会えたことを感謝したい。以下で本作の魅力を書き留めておきたいと思う。

 超人的な肉弾戦

 『マン・オブ・スティール』の魅力は、とんでもないスピードと規模で展開される格闘アクションにあるだろう。


映画『マン・オブ・スティール』本予告編映像 - YouTube

 この予告編の最後にあるような、まさに超人的な格闘シーンが、普通の都市で繰り広げられる。ともすれば、紀里谷監督の『GOEMON』のような、荒唐無稽で、ゲームのムービー的な薄っぺらいアクションになりそうなところを、絶妙なバランス感覚の演出と重厚な画面作りによって、荒唐無稽ではあるけれどもどこかリアリティもあるアクションに仕上がっているのは流石。

 また、スーパーマンの飛行の演出も素晴らしい。特に初めてスーパーマンが飛び立つ場面は、ただスーパーマンが飛んでいるだけなのに、ハンス・ジマーのスコアも相まって、爽快感が半端でなない。この飛行のシーンと、薄氷の上に立つがごとくのバランス感覚に裏打ちされた格闘シーンを見るためだけでも、劇場に足を運ぶ意味がある。

 3Dは、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のような、それ自体が作品の魅力となっているような、アトラクション的な、悪く言えば仰々しいものではなく、アクションシーンの迫力を陰から支えるような控え目な使い方であったように思う。スタートレック的なものよりは、こちらの方が作品にあっている気がするので、3Dの演出としては正解なのかな。

 

ストーリーの語り口

 本作は、スーパーマンの誕生から始まり、地球で拾われてからは、各地を放浪するクラーク・ケントと、その少年時代のエピソードが交互に展開される。少年時代からスーパーマンの成長の過程を丁寧に描いたことで、彼の驚異的な能力は観客の知るところとなっているから、どんな圧倒的な敵でも、「スーパーマンならやってくれる」感を観客が感じるつくりになっているのが上手い。故に、街や軍隊を圧倒的な戦闘力で破壊するゾッド将軍の配下に対して、正面から小細工なしで向かっていくスーパーマンが喚起する興奮は筆舌に尽くしがたいものがある。

 しかも幼少期から青年期までクラーク君のまわりにはハプニングが事欠かないので、まったく退屈しないのもいい。ヒーローになるまでの過程を、タリバン風のテロリストを使ってスリリングに描いた『アイアンマン』も上手いとおもったが、33年という長いスパンを丁寧かつスリリングに描いた本作も甲乙つけがたい出来ではないか。

 また、クラークの成長を見守る両親、特に父役のケヴィン・コスナーがいい。言ってることはなんだかよくわからんのだが、ケヴィン・コスナーの泰然としたたたずまいのおかげで、奇妙な説得力が生まれている気がする。流石名優。

 吹替え版については、実力ある声優陣が多数起用されていて、素晴らしい出来になっているとは思う。しかし本作においては、ラッセル・クロウケヴィン・コスナーといった名優の演技も魅力のひとつであると思うので、その点が若干損なわれているなとも感じる。もし機会があれば、字幕版も鑑賞したい。アクションもまた見たいし。

 

マン・オブ・スティール オリジナル・サウンドトラック

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