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中国近代史の学び方(嘘)

 こんなタイトルの記事だが、自分は別に中国近現代史を専門にしているわけではない。むしろ、もうどこにしまったかも忘れてしまった受験知識ぐらいしか、中国史については知らない。ずぶの素人である。

 そんな自分がなぜこんなタイトルの記事を書いているかというと、最近、中国近現代史を勉強する必要に迫られ、何冊か新書を読んだからだ。勉強してしっぱなしもよくないなと思ったので、簡単に感想程度は記しておこうと思う。どなたかの参考にでもなったら幸いです。

 

清朝と近代世界――19世紀〈シリーズ 中国近現代史 1〉 (岩波新書)

清朝と近代世界――19世紀〈シリーズ 中国近現代史 1〉 (岩波新書)

 

  まず読んだのがこれ。安心と安定の岩波新書のシリーズものの1冊目。清朝の繁栄からアヘン戦争太平天国、アロー戦争をへて日清戦争の直前くらいまでの時代が扱われている。いきなり19世紀から始まるわけではなく、前提となる清朝の体制や国内の状況が簡潔に述べられているため、この本から読み始めても苦もなく読み進められる。

 清の国内の様子も結構詳しく述べられているのだが、印象的だったのは国際関係に紙幅がかなり割かれている点。対露関係や新疆の話題、果てはハワイ国王の清朝訪問など、世界史の教科書ではカバーしきれない内容を拾っているなと感じた。

 国内の事情も詳しく述べられていると書いたが、残念だったのは 同治中興、洋務運動などの記述がそんなになかった点。ここが詳しく知りたかったのでちょっと肩すかしだった。しかし全体を通してみると、読みやすく入門にはいいかんじなのでは、という感想。

 

近代国家への模索 1894-1925〈シリーズ 中国近現代史 2〉 (岩波新書)

近代国家への模索 1894-1925〈シリーズ 中国近現代史 2〉 (岩波新書)

 

  上で紹介した本の続き。日清戦争から辛亥革命を経て、孫文の死まで、およそ30年が取り扱われている。

 これも前作(といっていいのか?)と同様、前提知識についてはその都度説明がされるので、独立して読んでも問題ないようになっている。章だては時系列ごとに区切ってあり、おおよそ時代ごとだったがトピックで分割されていた前作とは違った印象になっている。清と中華民国の政治の様子を描きつつ、オーソドックスにまとまっている本だと思いました。

 

李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

 

  今回読んだ本の中で、白眉だったのがこれ。李鴻章という人物にスポットをあてた、いわば伝記のような体裁なのだが、彼の人生を追うことを通して、清朝の栄枯盛衰がダイレクトに伝わってきた。それは李鴻章という人物の特異な立ち位置に拠るところも大きいと思うが、加えて著者の力量によって、たんなる伝記に留まらない、清末の社会を描きだした本になっている。

 当時の社会がよくわかるのはもちろん、読み進めていくうちに李鴻章という人物に愛着がわいてくるのは、伝記というスタイルのなせる技なのだろうか。寝坊して、師である曾国藩の機嫌を損ねた、なんてエピソードだけでも、李鴻章さんに親近感がわいてきませんか。

 李鴻章はそんな一面もありつつ、稀有なバランス感覚を持つ傑物だったんだ、というのが読後の感想。いままでは、なんか清末にでてきて艦隊つくったけど、日清戦争で壊滅させられたなんだかかわいそうな人、ぐらいのイメージしか持っていなかったのだが、それが一変した。というわけで、中国近代史、とりわけ清末の社会を知りたいなら、この岡本隆司李鴻章』がお勧めです。

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