先日Blu-ray Boxを購入した『天元突破グレンラガン』を観た。放送当時、とびとびながら見ていたのだが、ちゃんと全話通してみるのは初めて。正直、今まで見てこなかったのを後悔するレベルで面白くて、あっという話にテレビシリーズを全話見てしまった。比類なきロボットアニメの傑作だと思う。
グレンラガンに限らず、近年、ロボットアニメの名作は数多い。その中でも『STAR DRIVER 輝きのタクト』は群を抜いて傑作だった。グレンラガンに匹敵するのほどの作品は、おそらくスタドラくらいのものだろう*1。グレンとスタドラ、全く違う舞台・設定でありながら、意外と通じるものがある。その共通する部分に光を当てることで、作品の特質が浮かび上がるんじゃないかな、と思ったので思いつくまま書いていこうと思う。
何がロボットを駆動させるか?―「気合」と「輝き」
グレンラガンとスタドラに、共通点などあるのか。かたや主人公シモンの一代記、かたや学園青春ロボットアニメと、共通点は見当たらないようにも思える。しかし、両者の共通項となっている「ロボット」に着目すれば、自ずと共通点は見えてくる。ロボットの動力である。どちらのアニメにおいても、ロボットを駆動させているのは人間の熱い「思い」なのだ。
グレンラガンのロボット、ガンメンの動力は螺旋力もしくは電力である。しかし、最も重要な動力は、操縦者の「気合」である。このことは作中何度も強調され、しばしば「気合」によってロボットを突き動かし、全ての道理を蹴飛ばして主人公たちは前に進む。つまり、ガンメンは本質的には「気合」で動くのだ!
一方、スタドラのロボット、サイバディの動力とはなにか。サイバディは超銀河文明の残した遺産、という位置付けであるため、その動力は明言されない。だが、脚本の榎戸洋司氏のコメントから、それをうかがい知ることができる。以下で、テレビシリーズ16話に関するその発言を引用しよう。
榎戸 じつはこの戦いでタクトとタウバーンの関係性が変わっているんです。(中略)ここでヘッドはタクトの胸にあったタウのシルシを無力化してしまう。彼にはそういう能力があるんですけど、つまりここで一度、タクトはスタードライバーではなくなってしまうんです。でもその後でもう一度、シルシが輝き始める。これはタウの輝きではなくて、タクト自身が持っていた輝きなんですね。今まではタウバーンのシルシのおかげで、タクトはスタードライバーになっていたんだけれども、この場面以降はむしろ、タクトの青春の煌きによってタウバーンの方が力をもらう―という関係に変化している。と同時に、タウバーンが進化するわけです。だから、第十六話のタイトルは『タクトのシルシ』なんです。
(中略)
榎戸 だからヘッドはサイバディのシルシについては仕組みを理解していたんだけれど、タクト自身が持っているシルシについては、まったく理解できない。それはつまり彼が、青春の輝きというものを理解できない、ということでもあるんです。
『STAR DRIVER THE MOVIE 』限定版付属の小冊子より引用
もうおわかりだろう。サイバディを駆動させているのは、青春の「輝き」なのだ!つまり、操縦者の強い感情こそ、サイバディを突き動かしているといえよう。また、破壊されたサイバディを再生するには「リビドー」が必要、という点からも、サイバディと人間の感情が、深くつながっていることが推察できる。
この共通点は一体何を示唆するのか。それはやっぱり、不透明なこの時代に、人それぞれが持つ強い「思い」で立ち向かわんとする、制作者たちのメッセージがあるんじゃないかな。何が正しいのか、何が本物なのかわからないけれども、その「思い」だけは正しくて、本物なんだ。だから、それをむき出しにして生きていこうぜ。そんな応援メッセージが、込められていると信じている*2。
こんな感じで、ロボットに関わるところで、グレンとスタドラには大きな共通点があるのだ!他にも、今石氏に影響を受けたと思われるアクション作画とか*3、たくさん共通点があると思うが、なによりラストバトルの構図にこそ、両者のノリが大きく共通していると考えている。このあと、両者のラストバトルを比較して共通点をあぶりだしていこうと思ったが、書くの疲れたのでそれはまた明日。
追記
ラストバトルについての考察書きました。
傑作ロボットアニメの共通点Ⅱ―ラストバトルの想像力 - 宇宙、日本、練馬
天元突破グレンラガン COMPLETE Blu-ray BOX(完全生産限定版)
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: Blu-ray
- クリック: 738回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
STAR DRIVER 輝きのタクト Blu-ray BOX
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2013/01/23
- メディア: Blu-ray
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (10件) を見る