宇宙、日本、練馬

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東京国立博物館「博物館で野外シネマ」で『時をかける少女』を観たよ

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 10月10日―11日に東京国立博物館で行われたイベント、「博物館で野外シネマ」に行ってきました。

イベント 博物館で野外シネマ―東京国立博物館

 細田守監督の『時をかける少女』が上映されたわけなんですけども、言うまでもなく僕はめっちゃ好きなんですよ、ときかけ。しかしあんまり心が揺さぶられるもんでなかなか家で見るのはこう、覚悟がいるというか。それでこの機会にとトーハクに足を運んだわけです。以下で雑に感想を。

 とってもよかった!

 もうね、作品自体の感想はとってもよかったという小学生並みの感想につきます。やっぱり僕は『時をかける少女』には心を動かされずにいられない。そこらへんのことはまた近いうちに文章にまとめるとして(追記:翌日書きました。下にリンクあります)、この「博物館で野外シネマ」という企画についての感想を。

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 これが僕の座っていたベンチあたりからの眺め。なにやら15時ごろからすでに席についているお客さんもいたようで、僕が入場できた18時半、上映開始30分前には場内は人でごった返してました。幸か不幸か僕は一人で行ったので、それでも結構前めに陣取れたんですが、それでも、ご覧の通りスクリーンはお世辞にも大きく見えるとは言い難い。てか小さい。ぶっちゃけ。まあ大スクリーンで見たかったら名画座で上映されるのを狙っていくべきって感じだと思います。しかしそのスクリーンの小ささはそんなに気にならなかった、というかなれちゃいましたね。まあ、門の近くで立ち見してた方とかは正直厳しかったと思いますけど。

 そうそう、もう上映開始前には敷地内はもう席は満席、芝生の上も座るスペースなし、みたいな感じでした。席は800席ほどあったそうなんですが、多分その2~2.5倍くらい人がいた気がします。作中で千昭が「こんなに人がたくさんいるところを初めて見た」と独白しますけど、僕もトーハクにこんなに人がたくさんいるところを初めて見ました。キトラ古墳のときもこんなにいなかったですよ、絶対。

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 スクリーンが小さめなんで音響の方は大丈夫かな、なんて上映前は思ったりしたんですがこちらは完全に杞憂。音はかなり大きめで、おそらくカハクあたりまでは聞こえるんじゃないかと思えるほどで。その音響の効果はかなり独特な印象。野外上映だからだと思うんですけど、最初は映画館との違いに驚きました。言葉にしにくいんですが、若干エコーがかかったような響き方をしてた気がします。トーハクの敷地内の建物に反響してたんですかね、今思うと。これが新鮮かつ奇妙で、しかし心地よかった。

 特徴的な音響ももちろん良かったんですけど、やっぱりいちばんよかったのは1000人を超えるであろう人と一緒に映画をみる、という体験ができたことかな、と思います。真琴の一挙一動に、あの会場にいる人たちが笑って泣いて固唾を飲んで見守っている空気感はこのイベントならではじゃないかと。それがやっぱり「行ってよかった」と思う理由です。

 

観客のマナーにはちょっと辟易

 そんなわけでとっても楽しかったんですが、やっぱり不満もあって。それはお客さんのマナーについて。こういうイベントは一種の「お祭り」という側面ももちろんあるとは思って。ちょっとやそっとの規範からの逸脱はまあ許容されてもいいかなとは思うんですよ。少なくとも映画館のマナーを杓子定規に当てはめて批判するのはちょっと違うと思う。そこでその人なりに楽しんでいることにケチをつけるのは全く野暮ったいとも思う。しかしそれはなんでもやっていい、なんでも許されるということとはまったく異なる。やっていいこととそうでないことの線引きはあると思って。ここでその線を引いたのはあくまで僕個人に過ぎないわけですが、思ったことは書いておこうと思います。

なぜ上映中のスクリーンに携帯電話のカメラを向けるんですか?

 上映開始早々閉口したのがこれ。開始前に、「携帯電話など音の出る機器の電源はお切りください」とのアナウンスが流れたんですよ。この点において、映画館の規範はこの野外シネマにおいても踏襲されている。撮影、録音はもちろん禁止ですしね。

 しかし、上映が始まってアバンがおわってタイトルが表示されたその瞬間、カメラを取り出して撮影しだす観客が少なからず居て。なんで携帯の電源を切ってないんですかと。切っていないのは、まあ、音を出して他人に迷惑をかけるようなことがなければ別にどうでもいいと思うんですよ。音が聞こえない限り他の人にはルールを守っているのと同様なわけですから。

  でもカメラとしてスクリーンにむけてパシャパシャやるのは絶対違うでしょ。映画館でそれやりますか?やらないでしょ、てかやれないでしょ。携帯電話の使用に関して、映画館と同様の規範が示された以上、野外だからといってスクリーンにカメラを向けていいわけない。

 それ以前にそもそも電源を切れという呼びかけを無視しているわけで。ルールを守ろうという意思すらないことに深い憤りを覚えました。

 

エンドクレジットは作品じゃないんですか?

 ぶっちゃけこれは意見が分かれると思うんですよ。僕は別にエンドクレジットの時点で席を立つこと自体を批判しているわけではないです。本編終了後に「静かに」席を離れること自体は。でもこの野外シネマ、エンドクレジットが始まった途端場内全体がざわつき始めたんですね。席を離れる人だけじゃなく、すわっている人すらエンドクレジットが流れ出したらおしゃべりに興じ始めたようにしか思えない。

 本編が終わっても名曲『ガーネット』が流れてるんだからさ、静かにするのが作品に対する礼儀だし、他のお客さんへの配慮だとも思います。

 

博物館は騒がしく見学するもんなんですか?

 それと野外シネマ終了後、結構な数のお客さんがトーハクのなかに向かって、館内を見学されてました。

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 ぶっれぶれの写真ですけど、トーハクにこんなに人がたくさんいるところを初めて見ました。で、見学されるのはむしろ野外シネマを企画した方にとっても本望というか、むしろその狙い通りだと思うんですよ。それは企画の趣旨を説明した以下の文章からもわかる。

野外シネマの会場は、上野公園の一角にある東京国立博物館(トーハク)。日本最古のミュージアムで、日本美術を中心とした収蔵品は質量ともに日本トップクラスです。ただ、「なかなか行く機会がない」、「どんなところか分からない」と、まだ来たことがない人が多いことも事実。そこで、映画を見ながら、ゆったりとトーハクの雰囲気を味わってもらおうと、「博物館で野外シネマ」をお届けします*1

  ただねえ、お客さんざわつきすぎ。係の方が「博物館内は静かにご見学をお願いします!」と何度声を張り上げても馬の耳に念仏状態。時かけをみて興奮冷めやらぬのはわかります。しかし博物館内は静かに見学するのがマナーってもんでしょ。「博物館で野外シネマ」というお祭りは終わったわけですから。行動にメリハリをつけろって、小学校で指導されるたぐいのことだと僕は思います。

 

 はい、こんな感じで結構マナーについては閉口しました。こんなことを書き散らかして何になるんだと言われれば返す言葉もございません。しかしあの場でスクリーンにカメラを向けていた方が一人でもこの文章を読んでくださり、その行為が如何に心の狭い一人の人間を怒らせたのか、そのことを知っていただけたら望外の喜びです。

 なんか隠しようのない性格の悪さがにじみでる文章を書き連ねてしまったんですが、この「博物館で野外シネマ」という企画、本当に楽しませていただきました。またなにかやるなら足を運びたい、そう思えるイベントだったと思います。

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*1:東京国立博物館 リンク先より引用。