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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2015年7月に読んだ本

 7月は体調が大変安定しており、活発な生命活動が行えたといえます。よいことですね。

先月のはこちら。

2015年6月に読んだ本 - 宇宙、日本、練馬

 印象に残った本

  夏目漱石『こころ』は、大人になれなかった先生を乗り越えて、「私」が大人になる話なんですねー。それってウテナじゃん。

amberfeb.hatenablog.com

 

 

読んだ本のまとめ

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:6803ページ

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

 

 ■文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

 架空の大学を舞台に、血みどろの学内政治とマジメな文学理論の講義とか順々に描かれる。下世話極まる学内政治の醜聞劇を、コミカルかつ品のない、しかし中身はきちんとしている講義で中和してる。文学理論を紹介したのちそれを口さなくこき下ろすのが面白い。筒井康隆文学史という感じだった。基本的に実在の人物が引用されたり言及されたりするけど、時たま架空のパロディ人名で当てこすりしていて、そこらへんのモデルをもっとわかってればより楽しかったんだろうな、とは思った。
読了日:7月1日 著者:筒井康隆
http://bookmeter.com/cmt/48449330

 

 

 ■コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)

 鈴木敏夫の下での修行の体験から、「コンテンツ」にまつわるあれこれに持論を展開する。コンテンツとは、情報量とは、天才とは、オリジナリティとは…などなど、様々なところに話が及ぶが、正直「ふーん」って感じ。描かれている情報と受け手が読み取る情報は違うんだ、みたいなことって別にフィールドワークせずとも文学理論だの映像関係の本読めば書いてあることですよね?今さらあなたにいわれても...という感じ。

 「鈴木さんによれば〜」「宮崎監督によると〜」式の話の運びがうんざりするほど頻出し、これなら敢えて川上が論を展開するという構成ではなくて修行のルポタージュ形式の構成の方がまだ読むに堪えたんじゃないかと思う。体験の濃密さに反比例するかのような底の浅い論考。なんで読んだのかって感じだが。
読了日:7月2日 著者:川上量生
http://bookmeter.com/cmt/48489440

 

文学部唯野教授のサブ・テキスト (文春文庫)

文学部唯野教授のサブ・テキスト (文春文庫)

 

 ■文学部唯野教授のサブ・テキスト (文春文庫)

 唯野へのインタビュー、筒井康隆の対談・鼎談、そして本編で言及された「一杯のかけそば」分析を所収。ポスト構造主義批評のパロディにしてグロテスクな「お手本」たる「一杯のかけそば」分析が面白い。お涙頂戴の出来過ぎたエピソードに、ファシズム的なものへの傾倒を読み込む着想と、それをあくまでパロディの域に閉じ込める饒舌すぎる文体の相乗効果が楽しかった。
読了日:7月4日 著者:筒井康隆
http://bookmeter.com/cmt/48529990

 

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

 

 ■国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

 鈴木宗男関連の「国策捜査」で起訴された経験を語る。日露平和条約のために奔走した鈴木と外交官たちが、福祉国家から新自由主義へ、国際協調から排外的ナショナリズムへというふうに潮目が変わったことによってパージされたという見立ての正しさはひとまずおいて、外交上の様々な駆け引きや情報をめぐるあれこれなど、ディテールが極めて面白い。国際関係もそうだが、外務省内での派閥争い、微妙な力関係などは流石その渦中にいた人間だけあるなあと感じた。佐藤氏はあまり印象がよくないのだけれど、この本は評判に違わず面白く読めた。

 「知の巨人」()佐藤氏の著作のなかでは例外的にアカデミシャンからの評判も悪くないので手に取ったんですが、これはたしかに面白かった。「知の巨人」()ぶりが自慢げに開帳されていないからか。
読了日:7月6日 著者:佐藤優
http://bookmeter.com/cmt/48584131

 

 

韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)

韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)

 

 ■韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)

 歴代大統領のライフヒストリーに寄り添う形で、韓国の現代政治史を描く。植民地支配からの解放の後の権威主義的な体制の成立、クーデターなど、流れとしてはなんとなく知ってはいてもディテールは全然知らなかったので勉強になった。朴正煕政権がどれほどの無理を通して長期政権を維持していたのかとか。大統領の来歴からなんとなく韓国社会の様子はみえてくるものの、政治史が中心で経済的な展開とか社会の変化の様子なんかはそれほど提示されていないような印象。
読了日:7月8日 著者:木村幹
http://bookmeter.com/cmt/48618700

 

ナラトロジー入門―プロップからジュネットまでの物語論 (水声文庫)
 

 ■ナラトロジー入門―プロップからジュネットまでの物語論 (水声文庫)

 ナラトロジー(物語論)の入門書。ロシアフォルマリズムから構造主義言語学を経由して物語の構造をさぐる「物語の詩学」に至る流れを概観し、物語における時間や視点の問題が考察される。研究の流れの整理はすっきりしていてなんとなく掴めた気がしたが、著者が主に依拠するジュネットの主張や道具立ての話になるとなるほどなあとは思うもののあんまり頭に入ってこなかった。「物語の詩学」にそれほど惹かれなかったからか記述も平板に感じられて、僕はこういう風にテクストに向き合うのに向いてないんじゃないかと思った。
読了日:7月8日 著者:橋本陽介
http://bookmeter.com/cmt/48618904

 

キャラクター小説の作り方 (星海社新書)
 

 ■キャラクター小説の作り方 (星海社新書)

 小説の書き方ハウツー本の皮を被った文学論。現実の模倣でない漫画が、「記号としての身体」しか描けないなかでいかに死を描こうとしてきたのか、という大塚流の文学史のなかに、キャラクター小説たるライトノベルを位置づけ、また架空の「私」を描くキャラクター小説はそれゆえ文学なんだ、という風に線を引き直してみせる。おおまかな主張はそんな感じだと読んだ。星海社版のあとがきで触れられる、いまいかに迂回なりなんなりして「私」を語るのか、みたいなことが最近の大塚の関心なんだろうか。それと『木更津キャッツアイ』考が印象的だった。
読了日:7月9日 著者:大塚英志
http://bookmeter.com/cmt/48651808

 

 ■「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生 (朝日文庫)

 1ー3章では「大人」なることができなかった先生という視座から『こころ』を読解し、4章では相続、5章では「女の謎」を軸に漱石を論じる。『こころ』は、青年が、「大人になれなかった」先生の蹉跌を理解し乗り越えることで大人になる物語なのである、という読みに膝を打つ。「大人」になるために必要だったのが、静という女性だったわけだが、彼女にとって男たちは「大人のふり」をして右往左往する子供にすぎないという逆転。読解という営為の面白さとダイナミズムが十二分に伝わってきて楽しく読んだ。
読了日:7月9日 著者:石原千秋
http://bookmeter.com/cmt/48656708

 

ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎

ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎

  • 作者: デヴィッドエドモンズ,ジョンエーディナウ,David Edmonds,John Eidinow,二木麻里
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 単行本
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 ■ポパーウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎

 原題を直訳すると『ウィトゲンシュタインの火かき棒』。1946年、ケンブリッジ大学の一室で起こった「対決」を結節点として、ポパーウィトゲンシュタイン、そして彼らの周辺の哲学者たちの群像を描く。ともにウィーンからイギリスへ渡ったユダヤ人でありながら、バックボーンは対照的であり、そしてその哲学もまた大きく隔たる。主に二人の人物を扱いながら情報量は膨大で、両者について詳しく知ることができた感じがする。そして何より面白かったのが、ポパーウィトゲンシュタインをはじめとする奇人変人ぶり。偉大なる業績を残す人間は多少人格や振る舞いに問題あってもいいんだなっていう。

 ウィトゲンシュタイン信者の学生は学問はもとより服装からしぐさ、生活スタイルまで真似してたってエピソード、すごい。
読了日:7月16日 著者:デヴィッドエドモンズ,ジョンエーディナウ
http://bookmeter.com/cmt/48817623

 

エスノメソドロジーへの招待―言語・社会・相互行為

エスノメソドロジーへの招待―言語・社会・相互行為

  • 作者: デイヴィッド・フランシス,スティーヴン・へスター,中河伸俊,岡田光弘,小宮友根,是永論
  • 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
  • 発売日: 2014/04
  • メディア: 単行本
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 ■エスノメソドロジーへの招待―言語・社会・相互行為

 エスノメソドロジーについて概説する学部生向けの教科書の翻訳。「招待」と書名にあるように、身の回りの社会的な実践をエスノメソドロジーという眼鏡を通して実際に分析することへの入り口みたいな感覚で書かれている印象。序盤でエスノメソドロジーが従来の社会学とどう異なっているのかを述べたのちは、先行研究の成果を引用しつつエスノメソドロジーの具体的な研究について平明に述べてある。新聞の見出しを認識することや、日常生活の中の会話分析、コールセンターとの応答などなど。実際にエスノメソドロジーできる気になってくる。
読了日:7月17日 著者:デイヴィッド・フランシス,スティーヴン・へスター
http://bookmeter.com/cmt/48846507

 

ケータイ小説は文学か (ちくまプリマー新書)

ケータイ小説は文学か (ちくまプリマー新書)

 

 ■ケータイ小説は文学か (ちくまプリマー新書)

 「ケータイ小説は文学か」という問いではなく、「ケータイ小説はどのような文学か?」という問いに答えを与えようと試みるケータイ小説論。実話であることを匂わすことは、ケータイ小説のなかでは「リアル」のみが「リアリティ」を担保するという奇妙な構造を生んでいる、という解釈が特に印象的。その「リアル」はまた、「性の言説」が「真実の言説」として流通しているが故に別の真理を打ち立てるかもしれない強度を持ちうる可能性はもっていた、というのが結論だろうか。ケータイ小説が「受けた」理由がなんとなく納得できたような感じがする。
読了日:7月18日 著者:石原千秋
http://bookmeter.com/cmt/48856383

 

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

 

 ■ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

 ヒトラーの台頭からドイツの敗戦までを通史的に叙述する。ヒトラーが右翼運動のなかで大きな影響力をもつようになった要因、ナチスが国内でどのように支持を得ていったのか、そしてなぜホロコーストという未曾有の犯罪が行われるに至ったのかなど、先行研究を踏まえて平明簡潔に述べられていて大変勉強になった。参考文献も詳細なので入り口としても好適と感じる。この本と同著者『過去の克服』を通読するだけでもドイツ現代史の具体的な像をだいぶつかめるんじゃないか。
読了日:7月18日 著者:石田勇治
http://bookmeter.com/cmt/48857412

 

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

 

 ■本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

 出版事情、書店事情にまつわるエッセイをまとめたもの。取次の言うがままに本を仕入れる金太郎飴的な書店がある一方で、独自の視点から棚をディレクションしていこうする書店員もいる。そういう人たちがアンチ直木賞的な趣向で本屋大賞を始めた、みたいな話題が面白かった。芸人の受賞で良くも悪くも最近話題だけれども、色んな人が本を選んでみるっていうのは(少なくとも硬直化するまでは)楽しくかつ意義もある試みなんだなーと。今は本屋大賞ってあんまりいい印象ないのだけど、始まりには確かに楽しさみたいなものがあったのだなあと思った。
読了日:7月19日 著者:永江朗
http://bookmeter.com/cmt/48893085

 

新文学入門―T・イーグルトン『文学とは何か』を読む (岩波セミナーブックス)
 

 ■新文学入門―T・イーグルトン『文学とは何か』を読む (岩波セミナーブックス)

 イーグルトン『文学とは何か』を噛み砕いて説明しつつ、最終的にはイーグルトンが扱わなかったフェミニズム批評・ジェンダー批評を論じる。「すべての批評を書き換えた」とまでフェミニズム批評を評価しているあたり、それが明確にイーグルトンを乗り越えたということなんだろうか。精神分析関連の叙述は、プロパーの概説を読むよりはるかにわかりやすかった。フロイトラカンはこういう風に使うのかと。
読了日:7月22日 著者:大橋洋一
http://bookmeter.com/cmt/48979346

 

「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書)

「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書)

 

 ■「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書)

 「自己決定」を行う「自由な主体」の虚構性を、アーレントデリダなどの議論を引きつつ論じる。「人間性」や「自然な人間」というのが如何に西洋の歴史的条件から生じてきたものなのか確認したのちに、しかしそれを自明なものであるとの核心に基づいて議論を進めている日本の教育論を批判する、というような筋だろうか。「気短」な主体性に基づく早急な自己決定ではなく、自己決定するための自身のアイデンティティを再定義する気の長さの重要性を説いているように思われた。そのための「イマジナリーな権利」やマルチチュード概念、みたいな。
読了日:7月25日 著者:仲正昌樹
http://bookmeter.com/cmt/49034347

 

現象学 (岩波新書 青版 C-11)

現象学 (岩波新書 青版 C-11)

 

 ■現象学 (岩波新書 青版 C-11)

 フッサールからメルロ・ポンティまでの、現象学運動の展開とその思想をたどる。目線が文字の上を上滑りしていくような感じがあり、全然頭に入ってこなかったというのが正直なところだが、ドイツから生じた現象学がナチの台頭と同時代的にフランスへと流れ込み、ダイナミズムを取り戻したみたいな思想史的な流れは面白いなと思いました。その過程でフッサールサルトルとメルロ・ポンティの二人によってそれぞれ別様に読まれていったみたいな感じだろうか。現象学とはなんなのか、それは未だによくわかっていないので類書を読みたいです。
読了日:7月26日 著者:木田元
http://bookmeter.com/cmt/49074848

 

文壇アイドル論 (文春文庫)

文壇アイドル論 (文春文庫)

 

 ■文壇アイドル論 (文春文庫)

 村上春樹俵万智など、80年代に大きく脚光を浴びた「文壇アイドル」8人がどのように論じられてきたのかを考える「作家論論」。とりわけ女性文壇人についての見立てが面白く、田舎者林真理子と良家の子女上野千鶴子を先鞭として世に出てきた俵万智吉本ばななという構図はなるほどなーという感じ。連載が下になっているにも関わらず一冊の本としての統一がとれているのが流石。あとがきにもあるように文壇からみた80年代論としても読めて、尚且つほとんどのアイドルたちは未だに一線にいるので古びた感じもしないなと。ゲーマーとしての村上春樹読者とか。
読了日:7月26日 著者:斎藤美奈子
http://bookmeter.com/cmt/49088733

 

文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

 

 ■文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

 文学理論の概説書。上巻では英文学批評の誕生から現象学・解釈学・受容理論構造主義が論じられる。初版から30年を経て内容的には「アップデートが必要」との評をどこかで読んだけれども、それはさておき面白く読めた。その理由は、それぞれの文学理論を批判するときの舌鋒の鋭さにあるというような気がする。理論を紹介されてなるほどなーと思わされた直後にそれがイーグルトンによってすぐさま否定されてまたなるほどなー、となる、みたいな感じ。
読了日:7月28日 著者:テリー・イーグルトン
http://bookmeter.com/cmt/49128852

 

加藤周一――二十世紀を問う (岩波新書)

加藤周一――二十世紀を問う (岩波新書)

 

 ■加藤周一――二十世紀を問う (岩波新書)

 加藤周一の生涯に寄り添うかたちでその思想を概説する。伝記的な叙述スタイルだが、雑種文化論や文学史・美術史の試み、政治との関わりなどトピックごとに章立てがなされる感じで、編年的な叙述ではない。加藤の関心と著作の幅広さによるところだと思うが、本書の叙述もなんとなく散漫な印象を感じたけれども、加藤の仕事の範囲の広さを知ることができたのでよかったのかもという感じ。
読了日:7月28日 著者:海老坂武
http://bookmeter.com/cmt/49130651

 

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

 

 ■火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

 突然色盲になってしまった画家、記憶能力を失ったことで60年代を生き続ける「最後のヒッピー」、「火星の人類学者」のように人間の関わり合い方を学び、社会に適応している自閉症の科学者など、珍しい症例の患者についてのルポタージュ。訳者が述べるように医師というよりは一人の人間としてそれぞれの人々に向き合っているような感触があり、病のこと以上に、その人がどのように人生を生きているのかということを克明に伝えている。物哀しい「最後のヒッピー」のエピソードが特に印象にのこっていて、忘却はこれ以上ない悲劇だなあと強く思った。
読了日:7月29日 著者:オリヴァーサックス
http://bookmeter.com/cmt/49161703

 

網野善彦著作集〈第18巻〉歴史としての戦後史学
 

 ■網野善彦著作集〈第18巻〉歴史としての戦後史学

 主に『歴史としての戦後史学』、『古文書返却の旅』に収められた文章を所収。前者目当てで読んだ。その中核を成す(と思われる)「戦後歴史学の50年」は、敗戦直後から六全協にかけての記述は特に当時の熱気が感じられて面白く読んだ。マルクス主義の中でも羽仁五郎・井上清らと石母田正を中心とする一派でカラーに違いがあり、そしてマルクス主義とは一線を画す大塚久雄らみたいな三つの流れがあったのねーみたいな。それ以外の文章は古文書にまつわる「戦後の戦争犯罪」をめぐるものと、単行本の解説など専門的なものとに大別できるか。
読了日:7月30日 著者:網野善彦
http://bookmeter.com/cmt/49168708

 

小説入門のための高校入試国語 (NHKブックス)

小説入門のための高校入試国語 (NHKブックス)

 

 ■小説入門のための高校入試国語 (NHKブックス)

 石原のこの手の本は入試のハウツーである以上に小説とか評論とかのアンソロジーであって、本書もそう読める。それに石原による序文と解釈が付属してるのでただのアンソロジーを読むよりはるかに面白いというわけですよ。中学生向けの文章・問題なので流石に易しい感じだが、親子関係や友人関係、恋愛などテーマ別に章立てされたテクスト群を読むことで、学校空間において自明視されている価値を鮮やかに暴きだしてみせる。
読了日:7月30日 著者:石原千秋
http://bookmeter.com/cmt/49177461

 

来月のはこちら。

 

amberfeb.hatenablog.com

 

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