『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』をみたので感想。
魔法の王国と機械の帝国とが争う世界。機械の帝国ニフルハイムの勢力は日に日に増していくなか、魔法の王国ルシスは劣勢を強いられていた。クリスタルの力を王が操って展開する魔法障壁のおかげで王都インソムニアは無事であったが、周辺地域は次々と帝国の手に落ち、難民*1が王都に流入していた。その難民に、王が魔法の力を授け、前線に特殊部隊「王の剣」として送り出しなんとか戦線を維持しようと試みるも、帝国の力の前には劣勢は明らか。そのような情勢のなか、帝国から和平の申し出がなされる。長きにわたる戦争に疲弊した王国は、その和平に飛びつくのだが…。
ファンタジー世界を舞台にパワーゲームが展開されている状況を背景に語られる『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』の物語は、ありがたいことに事前に知識を仕入れていなくても問題なく入り込めるようなつくり。世界観については冒頭のナレーションで説明があるし、戦争が生み出す難民が主要なアクターとして物語を動かしていく、というのは、ファンタジー的な世界観といい意味でミスマッチな、どことなく現実っぽい雰囲気を醸しだすのに有効に機能していたという感じ。キャラクターの顔つきも実写と見まがうほどの自然さで、作品にリアリティを与えるのに一役買っている。顔のつくりはもちろん、なにより表情の自然さに驚きました。モーションキャプチャーとかフェイシャルキャプチャーの技術ってここまできてるのかと。『デッドプール』のコロッサスより全然自然だったぞ(全身金属おじさんと比べるのはおかしいかもですが)。
ファンタジー世界を舞台にしたパワーゲームというと、『FF12』や『タクティクス・オウガ』みたいな松野泰己作品を彷彿とさせるような感じで、いままでなんの情報も仕入れてなかった『FF15』自体にも興味がわきました。ファンタジー世界と現代的な機械文明が調和している世界観自体もすげえ新鮮な感じでしたし。
そのなかで展開されるアクションがこの作品のなによりの魅力という気がして、特殊部隊「王の剣」たち、とりわけ主役である兵士ニックスの魔法を駆使したアクションが気持ちよかった。小ぶりな剣を投擲してテレポートする、というアイデアがまず卓抜だと思うんですが、それを縦横無尽に駆使して戦うのがまた非常に気持ちよかった。テレポートのたびに散る火花のエフェクトが、高速アクションのなかでテレポート無数に繰り返されていることを雄弁に伝えてくるのがうまい。
そのテレポート以外の部分ではあくまでも普通の人間並みの力ぐらいしかない*2、というのもピンチの危機感がきちんと伝わるし、アクション的なところでもメリハリがついててよかったのかなという気がする。
そしてそのアクションのテンションが最高潮に達するのは、燃え盛る王都でのクライマックスなわけですが、第一魔法障壁が展開されたことで立ち上がる石造りの巨人たち*3も、武器の投擲によるテレポートを駆使して戦うのがめちゃくちゃ画的に熱かった。巨人の戦いと人間の戦いが同時並行で映されるアクションシーンはもうここだけで元取ったなというぐらいの満足度。ぶち壊れる街並みを屁とも思わない様子で豪快に戦う巨人たちが最高。美しく燃える街。こういう怪獣映画的魅力に溢れているとは予想もしていなかったんですが、非常に気持ちよかった。
という感じで非常に楽しんだんですが、映像作品内の死屍累々のシリアス具合と、エンドロール後のゲーム本編の旅の仲間たちのちゃらんぽらん具合にかなり落差を感じもして、これゲームはどういう感じになるんだろうという興味が俄然湧いてきたんですが、PS4はうちにはないんですね、はい。悲しい。王の墓となった廃墟の街を探索できるならもうそれだけで買いたいんですけれども。
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【作品情報】
‣2016年
‣ディレクター:野末武志
‣脚本:長谷川隆
‣出演