『ドクター・ストレンジ』をIMAX3D・字幕版でみました。これは間違いなくデカいスクリーンで見るべき映画だと思いますので、興味ある方はデカいスクリーンでかかっているうちに見に行かれたらよいのではと思います。以下感想。
人を治すこと。それが男にとってのすべてだった。天才外科医として名声と栄誉を勝ち得た男のキャリアはそのまま何の障害もなく続いてゆき、人を治し続けるはずだった。不意の事故によって、数多の命を救ってきたその手を、かつてのように自在に動かすことができなくなるまでは。最新の医療によっても救われなかった男は、ネパール、カトマンズの宗教サークルへと逢着する。そこから、彼の物語は動き出す。外科医ではなく、スーパーヒーロー、ドクター・スティーブン・ストレンジとしての物語が。
マーベル・シネマティック・ユニバースにまた新たなスーパーヒーローを迎え入れるべく語られる『ドクター・ストレンジ』は、同シリーズの14作目にあたる。既に幾人ものヒーローの始まりの物語を語ってきたにも拘わらず、この『ドクター・ストレンジ』においてなお新鮮さをキープしている。『アントマン』がさながら犯罪映画のごとき味付けでその新鮮さを担保していたのに対して、『ドクター・ストレンジ』は魔術によるめくるめく映像世界に観客を叩き込むことによって、我々をみたこともない世界へと導く。我々が視たことのない魔法世界は、当然外科医として生きてきたストレンジにとっても未知なものなわけで、ストレンジの驚きと我々の驚きとがシンクロするような、そういう経験になっていると思う。とりわけ、師であるエンシェント・ワンによってストレンジが多元宇宙に放り出されるシークエンスは、ああトリップ状態ってこういう感覚なんだろうかと思わせる毒々しさと刺激に満ちていて、これはスクリーンで、かつ3Dでみなけりゃ衝撃半減じゃないかと。
悪役然とした集団と正義の味方らしき人物が、折れ曲がり重なり合い畳みこまれる市街地で攻防を繰り広げる冒頭から、魔法世界の視覚的な異質性がアクションとが奇妙に調和していることに驚かされる。ああ、この世界の魔術師たちは、ハリー・ポッター的に呪文を撃ちあうのではなく、魔法でかたどられた武器で殴り合うんだっていうのは結構新鮮でした。クリストファー・ノーラン監督『インセプション』の世界を、よりけばけばしく、大規模にして、そのなかで超人同士を殴り合わせるというビジュアル面だけでも大勝利という感じ。
予告でも使われていた、折れ曲がる街での戦いがクライマックスなのかと思いきや、さらに度肝を抜く、逆行する時間のなかで戦う場面がアクション上のクライマックスになっていてこちらも大変楽しかった。そのような時間をめぐる魔法のギミックが重要な役割を果たすわけだけれども、物語上も決して戻れない時間、戻らないものとどう折り合いをつけるのか、ということがキャラクターのドラマを構成しているという感じもして、そこらへんは上手いことやったなと思いました。
いやーしかし映像だけで元取った感が半端なかったので、興味あるかたはぜひデカいスクリーンで見られるうちに足を運んだほうがよいんじゃないかと思いました。はい。
関連
僕とドクター・ストレンジさんとの出会いはこれでした。
ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM(R) 3(アルティメットマーヴルバーサスカプコン3)
- 出版社/メーカー: カプコン
- 発売日: 2011/11/17
- メディア: Video Game
- 購入: 2人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
ドクター・ストレンジ:プレリュード (ShoPro Books)
- 作者: ウィル・コロナ・ピルグリム,ホルヘ・フォルネス,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2017/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
【作品情報】
‣2016年/アメリカ
‣監督:スコット・デリクソン
‣脚本:スコット・デリクソン
‣出演
- スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ - ベネディクト・カンバーバッチ(三上哲)
- モルド - キウェテル・イジョフォー(小野大輔[4])
- クリスティーン・パーマー - レイチェル・マクアダムス(松下奈緒[4])
- ウォン - ベネディクト・ウォン(田中美央)
- ニコデマス・ウエスト - マイケル・スタールバーグ(志村知幸)
- ジョナサン・パングボーン - ベンジャミン・ブラット(根本泰彦)
- ルシアン / ストロング・ゼロッツ - スコット・アドキンス(祐仙勇)
- カエシリウス - マッツ・ミケルセン(井上和彦)
- エンシェント・ワン - ティルダ・スウィントン(樋口可南子)