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映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

『GANTZ:O』感想

GANTZ:O Blu-ray 通常版

   Netflixで『GANTZ:O』をみまして、大変よかったので感想を書き留めておこうと思います。

  奥浩哉GANTZ』の所謂大阪編を3DCGによってアニメ映画かしたのが『GANTZ:O』。物語の途上の挿話なのにも関わらず、この映画単体でみてもまったく問題ない構成になっていてそれがまず上手い。原作はずいぶん前に途中まで(おそらく大阪編あたりまで)読んだっきりで、どんな改変が行われているのか細部までは把握できていないのですが、主人公的な役回りを演じる加藤の立ち位置を微妙に改変して、加藤もまた記憶の上では初めてガンツをめぐるデスゲームに巻き込まれた人間という立ち位置にしたことで、導入部でルールを劇中で自然に提示するあたりは非常に親切だなと。

 そういう親切さのおかげで本編にすんなり入っていけるわけだけど、容赦なく人間が殺されていく緊張感が漂っているのがやはりいい。人間も化物もどんどん死んでいく無常感がこの映画を規定していて、だからこそまったく死の危険に頓着していないように思える加藤の主人公性が際立つ。その彼らが戦う敵、とりわけ最後に立ちはだかるぬらりひょんの圧倒的な強さ。結末は知っているにも関わらず、どうやったらこいつに勝てるのかという絶望感を感じさせるのが素晴らしい。

 この『GANTZ:O』はある意味でヒーロー映画だと思うのだけど、そのヒーロー映画においてなによりも大事なのは、少なくとも僕にとっては敵なのだなと。たとえばマーベル・シネマティック・ユニバースの作品群を思い返してみると、僕の心に強く残っている作品っていずれも敵役が強烈な印象を残す作品ばかりという気がする。『ウィンターソルジャー』にしても『シビルウォー』にしても。『ダークナイト』はその極めつけの作品だったのだなと改めて思う。逆に言えば、敵役の印象が相対的に薄いと、映画全体の印象もどうもイマイチな感覚が残ってしまうのだけれど。

 それと3DCGのクオリティや動きは極めてクオリティが高くて、『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』を鑑賞したときもそう感じたのですが、ここまで進歩しているのかと。『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』は人物造形は実写よりという雰囲気でしたが、こちらはもっとアニメ的な方向に寄っているというか、原作漫画の雰囲気を色濃く残しつつ、リアルな街並みと齟齬を来していないバランス感覚がすごい。はい、というわけで大変楽しかったです。

 

 

GANTZ:O Blu-ray 豪華版

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【作品情報】

‣2016年/

▸総監督:さとうけいいち

‣監督:川村泰

‣脚本:黒岩勉