夏の終わりの足音を感じます。
先月の。
印象に残った本
- 作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,野崎歓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 187回
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一冊選ぶならウエルベック『素粒子』でしょう。ラストに明かされる仕掛けのすさまじさにやられました。
読んだ本のまとめ
2018年8月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4202ページ
ナイス数:161ナイス
https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly
■テクストはまちがわない
漱石研究者として、あるいは受験国語本の著者として知られる著者による論文集。テクスト論者として作品の構造論的な読解を試みるような論考が多いのだが、当たり前だが専門的な論文がほとんどなのでハイコンテクストやなあという感じです。
読了日:08月02日 著者:石原 千秋
https://bookmeter.com/books/521195
■ガリバルディ - イタリア建国の英雄 (中公新書)
イタリア統一の立役者、ガリバルディの評伝。一介の船乗りが祖国で死刑宣告を受けて南米へと渡り、そこで義勇兵を率いて名を挙げて、やがて祖国に舞い戻り革命運動に邁進する。盛りを過ぎてからは政治的なバランス感覚の欠如から敗退や失態を演じたりと決して晩節を汚さなかったわけではないのにその神話が強烈に息づいていることに結構驚く。
読了日:08月02日 著者:藤澤 房俊
https://bookmeter.com/books/11240317
■科学と神秘のあいだ(双書Zero)
科学とニセ科学について触れたエッセイ。EM菌って2010年ごろにはすでに問題化してたのだなとか、テルミンとかの話は面白く読んだのだけど、おじさんが無理して不良文体で若作りしてる感じがきつい。不良文体がへた。
読了日:08月05日 著者:菊池 誠
https://bookmeter.com/books/562607
■男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書)
軍隊小説からみえてくる、近代日本における男性をめぐる力学と葛藤とをライトな調子で語られる、軍隊小説を通した近代(男性)論。『文学部をめぐる病』の著者であることを思えばこそ、トンデモ保守的しごき礼賛本なわけはなかろうと思って手に取ったのだけど、タイトルで損してないかなあと心配になる。むしろ誤解して手に取った「男の子」を啓蒙してやろうという粋なはからいなのかもしれませんが。
読了日:08月05日 著者:高田 里惠子
https://bookmeter.com/books/570317
■青い花 4巻 (F×COMICS)
大野さんと上田さん登場。伝えられた万城目さんの「好き」のかたち。
読了日:08月05日 著者:志村 貴子
https://bookmeter.com/books/573997
■青い花 5巻 (F×COMICS)
過去と現在とがコマ=舞台の上で錯綜し溶け合う「鹿鳴館」のクライマックスがとにかく凄まじくて、これが漫画の力なのかと思い知りました。
読了日:08月05日 著者:志村貴子
https://bookmeter.com/books/333239
■存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて
デリダはなぜあれほど奇妙なテクスト群を書かなければならなかったのか。東浩紀の初期の仕事にして、今でも彼の仕事はこの本の「誤配」の果てにあるのだろうなと思う。久しぶりに通読したけどやっぱりよく論理を追えなかった気がする。
読了日:08月06日 著者:東 浩紀
https://bookmeter.com/books/503596
動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学 (河出文庫)
- 作者: 千葉雅也
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2017/09/06
- メディア: 文庫
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■動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学 (河出文庫)
「接続的ドゥルーズ」に対して「切断的ドゥルーズ」ともいうべきドゥルーズ像を打ち出し、そしてそれらの並立するところに新たなドゥルーズの哲学を見出す。文庫版に付された解説が本書の議論を図式的に提示していてよい補助線になっていて、以前通読した時は全然わかってなかったなあと思い知らされると同時に、わかってなくてもある種の倫理を訴えるアジテーションとして読めてしまう(実際またそういう読みをしたような気がする)のが本書の魅力ではないかと思います。
読了日:08月08日 著者:千葉 雅也
https://bookmeter.com/books/12228350
■海の帝国―アジアをどう考えるか (中公新書)
東南アジアにおける国家形成の過程を、三段階(ラッフルズの自由貿易帝国、文明化、アメリカの自由のアジア)の自由主義のプロジェクトを中核として語る。近代国家がいかにつくられてきたのか、という問いはまさしくアンダーソン『想像の共同体』と共有しているのではという気がします。
読了日:08月09日 著者:白石 隆
https://bookmeter.com/books/439853
■ツチヤ教授の哲学講義―哲学で何がわかるか? (文春文庫)
ベルクソン、デカルト、プラトン、エトセトラ。みんな大物みたいな感じだけど、僕からしたらなっちゃいない。何がなっちゃいないかって?それは「言葉の使い方」ですわよ。というわけで、ウィトゲンシュタインという棍棒を持って形而上学をぼこぼこに殴っていくこの講義録は、形而上学と言語ゲームを決闘させ、人生の意味とかなんとかを哲学に求める愚昧を見事に「治療」してくださいます。再読ですが、例示のところはややくどい感があったがおもしろく読めました。プロパーからの評価ってわからんのだけど、それが気になります。
読了日:08月10日 著者:土屋 賢二
https://bookmeter.com/books/2900477
■漱石の地図帳―歩く・見る・読む
新聞連載等をまとめたもの。漱石が持っていたであろう東京の地理感覚を、実際に付属の地図なんかを参照してなるほどなーとわかった気になれます。
読了日:08月14日 著者:中島国彦
https://bookmeter.com/books/12920135
ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)
- 作者: 新井紀子
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2014/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)
AIは何を得意としていて、何が不得意なのか、というのを受験をテーマに楽しく教えてくれる、啓蒙的でよい本だなあと思いました。
読了日:08月20日 著者:新井紀子
https://bookmeter.com/books/8212172
- 作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,野崎歓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 187回
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■素粒子 (ちくま文庫)
人間の歴史の終局。20世紀の二つの潮流を兄弟二人に仮託し、老い衰えゆく人類の虚無がひたすら綴られてゆく展開は決して快いとは言えないが、そのままならなさこそを救ってみせる、人類にとってのある種の救済であったことが明らかになるラストがとんでもなくて、ぶっ飛ばされた。
読了日:08月21日 著者:ミシェル ウエルベック
https://bookmeter.com/books/573563
■マイナス・ゼロ (集英社文庫)
アジア太平洋戦争の最中、空襲で亡くなった隣人の遺言は、男を数奇な運命に巻き込んでゆく。タイムマシンを使ったドラマの展開は流石に古典的な印象を免れないが、それでも本書が強い魅力を放っているのは戦前の東京のディテールによるところ大だろう。著者の記憶の中の、焼け野原になる前の東京の姿がテクストのなかに詰め込まれていて、これ自体が一種のタイムマシンなのだ。綿密な取材と想像力で、SF作家はこの唯一無二のタイムマシンを作ったのだ。
読了日:08月27日 著者:広瀬 正
https://bookmeter.com/books/546334
近況
その風景は何を語ったか?――『詩季織々』感想 - 宇宙、日本、練馬
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』感想 - 宇宙、日本、練馬
その嘘に強度は宿るか――『カメラを止めるな!』感想 - 宇宙、日本、練馬
うつろう/道の途中で――映画『ペンギン・ハイウェイ』感想 - 宇宙、日本、練馬
あんまり劇場に足を運べませんでした。
北海道に行きましたの。
『宇宙よりも遠い場所』、めちゃくちゃよかったです。