『STAR DRIVER 輝きのタクト』の放映から2年が経とうとしている。『STAR DRIVER』は、やはり魅力的だ。時がたっても、この作品に対するその思いが変わることはなかった。むしろ、何度も見返すことでより強まっている感もある。劇場版の公開が控えている今、その思いを改めて書き残しておこうと思う。
「これとは違う、もっとすごい空を、きっと見るさ」
この作品の魅力は、数限りなくある。美麗なロボット作画、魅力あふれる登場人物、学園モノとロボットモノを見事に融合させた舞台設計...。その中でも心惹かれるのは、この作品が訴えかけるテーマである。そのテーマなんなのか。それは、我々の「生き方」に関わるものであると思う。それは、上に挙げた、主人公タクトが作品の最後の最後に語るセリフに集約されている。このセリフの意味する主人公の生きざまは、五十嵐卓哉監督によって以下のように解説される。
五十嵐 (前略)タクトは最終話で「これとは違う、もっとすごい空を見るさ」っていうんですけど、彼が見てる空はこれ以上すごい空はないっていう空なんですよ。それを前にしても、コイツはまだ「これよりすごい空を見る」って言う。それくらい「先を見る」ってことに対して、一点の曇りもないんです。この先に待っているのは、素晴らしいことではないかもしれないし、ある意味、ツラいことかもしれない。それでも、この先にあるものを見たい。そういう主人公だったんだな、と思いますね。
「STAR DRIVER STAFF INTERVIEW EXTRA 五十嵐卓哉×榎戸洋司」『STAR DRIVER VISUAL MATERIALS CHARACTERS&MECHANICS III』より抜粋
ラストシーンで語られるこのセリフに集約されるタクトの生き方は、全編を貫いている。常に「先を見」続けるその生き方は、過去に拘泥し、タイムマシンによって永遠に過去を回想し続けることを望むヘッドと完全に対置され、そしてそれを完全に打ち破る。
過去はどうでもいい。それより前を向いて先へと進め。先になにがあるかはわからない。それでも進むことこそ大事なのだ。そんな力強いメッセ―ジがストレートに伝わってくる。それは、確かなものなどなにもないポストモダン的な状況にある現在にこそ向けられた(楽観的な)挑戦であるし、単純に個人を後押しする激励でもある。
だから、俺は『STAR DRIVER 輝きのタクト』が好きだ。劇場版も、こうしたメッセージ性を失わずにいてくれたらと願う。
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