網野善彦『日本の歴史をよみなおす (全) 』を読了。網野氏の本は、名著とされる『無縁・公界・楽』を半分くらいまで読んだだけだったが、これは読みやすくてすんなり読み終えられた。
本書は日本中世における文字や貨幣、芸能民などの話題が取り扱われている。それらを取り扱う際の網野氏の問題意識としては、日本人になんとなく植えつけられている、日本社会=農業社会という先入観を掘り崩すこと、今まで歴史の中で不当に扱われてきた芸能民や神人などに光を当てること。
いわゆる教科書的な内容の歴史とは全く違った見え方を提示していて大変面白かったのだが、それぞれのトピックに関してはまだまだ研究が途上であり今後に期待される、というような書きぶりで、そこが若干不満。でも、網野氏の語り口は大変魅力的だし、先入観を掘り崩そうとする問題意識は未だに新鮮さを失っていない。少なくとも俺のような素人にとっては。
さて、今後『無縁・公界・楽』に再挑戦するか、別の著作を読むか。悩みどころ。
無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150))
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1996/06
- メディア: 新書
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