下高井戸シネマにて『ザ・マスター』を観た。Blu-rayが出るまで我慢しようかとも思ったが、予告編を見たらいてもたってもいられず、後輩を無理に誘って見に行ってしまった。
映画『ザ・マスター(原題) / The Master』予告編 - YouTube
この予告編、ホアキン・フェニックスのぶち切れ具合とよくわからん内容、そして後半でかかるNo Other Loveの心地よさがツボで、もう50回は見た気がする。その後輩にこの予告を見せたら、「ホモ映画ですか(笑)」との反応。君は『裏切りのサーカス』を観た時も「ホモ映画じゃないですか(笑)」とかいってたな。
で、観た感想はというと、さっぱりわからん(笑)、でも演技と映像美に満足、といったところ。前日徹夜という最低のコンディションで臨んだので、序盤うとうとしかかったが、フレディとトッドの対話の場面で一気に目が覚めた。この場面の吸引力は凄まじいものがある。失礼ながら、ホアキン・フェニックスがこんなに凄まじい役者だとは知らなかった。『グラディエーター』の嫌な奴のイメージ、俺の中で完全に払拭。その後も各場面での俳優たちの渾身の演技に目を奪われ続けた。
予告編でも使われていた荒野をバイクで疾走する場面などは、映画館で観てよかったなと思わせる美しさだった。前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も画面の構成の美しさを感じたが、更に磨きがかかっていたんじゃないか。
また、フレディとトッドの関係が、この映画の主題だけあって、印象深かった。過激な手段でトッドの名誉を守ろうとするフレディや、ズボンが破けるほど攻撃的にじゃれあう二人の姿なんかは、ホモソーシャル的な関係性を想起させたが、単なるホモソーシャルではないよね多分。最後の場面で暗喩的に語られる「マスター」という語の意味はなんなのか。それこそが二人の関係性を理解するヒントなのだとは思うが、理解には至らず。
そんなわけで画面に釘付けになって2時間半を過ごしたが、個々の場面場面は楽しめたが、全体としてのテーマであるとか、物語を理解するまでには至らなかった。凄まじい場面場面の連続なんだけど、それがぶつ切りになっている感じで、連続的なものとして頭に入ってこない。それがさっぱりわからん感の原因である。Blu-rayが出たら何度も見返したい、そんな映画だった。
【作品情報】
‣2012年/アメリカ
‣監督:ポール・トーマス・アンダーソン
‣脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
‣出演(日本語吹き替え)
- フレディ・クエル :ホアキン・フェニックス (小山力也)
- ランカスター・ドッド: フィリップ・シーモア・ホフマン (後藤哲夫)
- ペギー・ドッド :エイミー・アダムス (落合るみ)
- ヘレン・サリヴァン :ローラ・ダーン (入江純)
- エリザベス・ドッド: アンビル・チルダーズ (下山田綾華)
- ヴァル・ドッド: ジェシー・プレモンス
- クラーク: ラミ・マレック(中村和正)
- ジョン・モア: クリストファー・エヴァン・ウェルチ (魚建)
- ビル・ウィリアム: ケヴィン・J・オコナー
- ドリス・ソルスタッド: マディセン・ベイティ (佐藤美由希)
- ソルスタッド夫人: レナ・エンドレ