2013年12月から、読書メーターなるものを始めてみました。3日坊主にならないように頑張りたいですね。
で、読書メーターさんが12月に読んだ本をまとめてくれる機能があったので、それを使ってブログの記事を更新しようかなと。楽でいいですね。
2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3625ページ
■憲法で読むアメリカ史 (全) (学芸文庫)
憲法の解釈の変遷という観点から、建国から現代までのアメリカ史を概観する。憲法の解釈を中心に述べられているので、アメリカ史の流れを知っていないと読み難いか。アメリカの歴史において、憲法解釈を担う最高裁判事の影響力、果たしてきた役割の大きさがこれほどまでとは知らなかったので新鮮だった。
読了日:12月2日 著者:阿川尚之
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34302975
■ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)
セカイ系から決断主義へ、というように想像力が遷移している、という発想は面白く、仮面ライダー論やクドカン論など個別の評論は読んでいて楽しかったが、「決断主義」ということばが、水戸黄門の印籠のごとく使われているなと感じた。全ての作品を、「決断主義」で批評できるのではないか。 あと、本書が東批判として機能しているかも疑問。一部のサブカルを特権化して社会を語る手法は、東の方法論を想起させるので、結局著者も東フォロワーの一人なんじゃないかと思った。
読了日:12月23日 著者:宇野常寛
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34302209
構造主義などの、いわゆる現代思想に重点が置かれいるかと思いきや、それらの意義を、デカルトまで遡って探っていくという内容だったので面食らった。デカルト以来の哲学者、思想家たちが如何に自己、社会と向き合っていったのか、という観点からその思想が説明されており、その点は新鮮に感じたが、いかんせん哲学史やそれぞれの思想家についてのある程度の理解がないと理解が困難な気もする。とりあえず、現象学についての基礎的な理解をしてからまた再読しようと思う。
読了日:12月24日 著者:竹田青嗣
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34302158
東浩紀、鈴木謙介が、一人づつ社会学者を迎えて行なった鼎談が3本収められている。個人的には、宮台を迎えた1章が一番面白かった。宮台の問題意識と、その行動の受け取られ方の落差に対する失望とが吐露されていて、宮台という人間を生で感じられた気がする。2章、3章では北田、大澤がそれぞれ宮台を攻撃する箇所があり、その印象が強かったので、本書全体として宮台推しみたいなのを感じた。
読了日:12月25日 著者:東浩紀,北田暁大,宮台真司,大澤真幸,鈴木謙介
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34310669
■経済学という教養 (ちくま文庫)
不況・不平等・構造改革というとっかかりから、新古典派、ケインズ、マルクス主義経済学などの議論を明快に説明している。それぞれの思考法で、日本経済の問題がどう捉えられるているのか、そしてその限界と可能性という点にまで議論しており、その点が大変おもしろかった。今まで経済学をろくに勉強してこなかったせいで、正直読み進むのは容易くはなかったが、そっれでも読み進めたいと思わされ、読んで「ためになった」感があって満足した。
読了日:12月25日 著者:稲葉振一郎
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34322019
無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150))
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1996/06
- メディア: 新書
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■無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150))
「無縁」の原理の展開と衰微から、新たな中世像を提起する。触れられる事象は多岐にわたり、それぞれの事象の意味内容が十全に掴めたとは言い難いが、「無縁」の原理による日本史の捉え返し、という試み自体は理解できたので、満足感はある。
読了日:12月26日 著者:網野善彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34338885
かつて高等教育の場で大きな影響力を持った教養主義が、どのように生まれ、変質し、そして終わったのかを明らかにする。扱う時代は明治後期~1970年頃までと幅があるが、叙述は時代順ではなく、時代を行きつ戻りつする構成となっている。それでも読み難いということはなく、岩波書店の隆盛など個別の議論が面白かったのですらすら読めた。教養主義没落の原因は、結局新中間大衆の出現による「サラリーマン」文化の興隆にある、というのは納得。教養の意味は、差異化でも立身出世でもなく、自省にある、という筆者の主張が心に残った。
読了日:12月26日 著者:竹内洋
参考にしてちょっとしたオタク論を書きました。
「教養主義」の亡霊としての「オタク」―自省のための「オタク」論 - 宇宙、日本、練馬
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34345710
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/02/25
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■砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
負けるとわかっていても戦う人間は悲劇なのか。負けるとわかっていても戦わざるを得ない人間の戦略として、「砂糖菓子の弾丸」を撃つ、という行為があるんじゃないか。その意味で『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』というタイトルは、作品の内容を見事に表しているなと。撃ちぬけないからこそ、その鮮烈さが際立ち、胸を打つんだろうなと感じた。
読了日:12月27日 著者:桜庭一樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34351146
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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■ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
稲葉振一郎『経済学という教養』で紹介されていたので読んだ。経済学の手法で八百長や犯罪防止、教育の問題を解きほぐす、その手際がクールで読んでいて楽しかった。その手法はデータを統計的に分析するものだったので役に立つかどうかは微妙だと思ったが、経済的、社会的、道徳的インセンティブに着目するという発想は多分日常生活で突き当たる問題を考える糸口として使えるんじゃないかとも感じた。
読了日:12月28日 著者:スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34376099
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2003/12/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■経済学思考の技術 ― 論理・経済理論・データを使って考える
「経済学的なものの見方」とは、どんなものなのかを簡明に整理し、後半ではその思考法を用いて平成不況への処方箋を提示する、という流れ。経済学的なものの見方は、論理的に考える、データの裏付けをとる、というふたつを軸に、そのための経済学の論理、データの読み方などが解説されており、わかりやすかった。数式もほどほどしか出てこないし。ただ、素人に一番困難なのは、妥当性のあるデータを手に入れることのような気もするので、著者が言う経済学者の議論の妥当性を検証する能力が、本書だけで身に付くかは疑問かな、という感想。
読了日:12月29日 著者:飯田泰之
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■立志・苦学・出世-受験生の社会史 (講談社現代新書)
明治期から1980年代ごろまでの受験の歴史を、受験生の心性に着目して論じる。明治40年頃から、(その人数は全く違うにせよ)現代とそう変わらない受験生の生活があったんだなあ、と驚いた。勤勉を是とするような受験への心構えが、試験を「暗号解読ゲーム」化した予備校と、偏差値によって自分の相対的位置がはっきり可視化されたことによって、古臭くてダサいものになった、という点に納得。
読了日:12月30日 著者:竹内洋
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34439229
来月のはこちら。
2014年1月に読んだ本ー哲学を学びたい - 宇宙、日本、練馬