THE BLUE HEARTS結成30周年プロジェクト始動 - 音楽ナタリー
来年2月に、THE BLUE HEARTSが結成30周年記念のベスト盤を出すというニュースを昨日見まして。ブルーハーツ、ベスト盤いっぱい出してますけど、2010年にでた『ALL TIME SINGLES』でもう打ち止めかな、なんて勝手に思い込んでたので結構びっくりしました。いやしかし、よく考えてみたらブルーハーツの今までのベスト盤ってぶっちゃけビミョーというか、決定盤的なベスト盤がない気もしてきたんですよ。そこらへんについて思うことをつらつら書き留めておこうと思います。
今までのTHE BLUE HEARTSのベスト盤を振り返ってみる
僕はブルーハーツにリアルタイムで熱狂した世代ではないんですけど、めちゃくちゃハマっていた時期があったので、無駄にいっぱいあるベスト盤も全部聞いてます。5枚全部。それで結論からいえば、5枚の内の4枚、20世紀に発売されたベスト盤は今聴く価値は全然ないといっても過言じゃないと思います。
それはなぜかって、4枚が4枚ともメルダック時代=前期とイーストウエスト・ジャパン(ワーナー)時代=後期に色分けされていて、「キャリアの全体像」がなんとなくわかるようなベスト盤が存在しないから。これに尽きる。だから前期の曲も後期の曲も聞きたかったら、最低2枚はベスト盤を聞かなきゃならない。この欠点を解消してしまった『ALL TIME SINGLES』が21世紀に世に出てしまったせいで、取り立てて20世紀のベスト盤を聞く意味がなくなってしまった。しかも『ALL TIME SINGLES』はリマスターまでされてますからね。
それぞれのベスト盤にしか収録されてないライブ音源なんかもあるにはあるんですが、それでもファンアイテムの域を出ないというか。
ミート・ザ・ブルーハーツ?ベスト・コレクション・イン・USA
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この『MEET THE BLUE HEARTS』はメルダック在籍時代の曲を集めたもの。これでしか聞けないのは、アメリカでのライブ音源2曲(『僕の右手』『ハンマー』)。
これはイーストウエスト・ジャパン(後にワーナーと合併)在籍時の曲を集めたやつ。これにしかないのは『夜の盗賊団 』の別バージョンと『ナビゲーター』のライブバージョンだろうか。
- アーティスト: ザ・ブルーハーツ,真島昌利,甲本ヒロト
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こっちは前期。『ブルーハーツより愛をこめて』が聴ける。
これは後期なんですが、全部『ALL TIME SINGLES』に収録されてしまった。ああ無情。
そんななか結成25周年を迎えた2010年に満を持して登場したのがこの『ALL TIME SINGLES』というわけなんですよ。メルダックとワーナーの垣根を越えてCD2枚に全37曲を収録したこれが、20世紀に出された4枚のベスト盤を吹っ飛ばしたと。
ALL TIME SINGLES~SUPER PREMIUM BEST(DVD付)
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『ALL TIME SINGLES』への不満
しかしその『ALL TIME SINGLES』に不満がないわけじゃないんですよ。「ALL TIME SINGLES」の名の通り、すべてのシングルを収録しているわけで、非常にお得感があるわけなんですが、ちょっと盛りだくさんすぎるというか。特にDisc2なんかは、『Singles 1990-1993』で2枚に分けられていたのが1枚に圧縮されているので、誤解を恐れず言えばめっちゃ長く感じるわけです。
シングルを全収録というコンセプトだから当然ですけど、シングルか否かということ以外に選択の原理がない。ベストな曲を集めたわけじゃなくて、あくまでシングルの寄せ集めじゃないですか。それでベスト盤を名乗っていいのかと。
しかし往々にしてそういう盛沢山すぎるベスト盤は世にはばかっていると思うんですよ。
サンボマスターのこれとか、
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Base Ball Bearのこれとか、
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ミッシェルのこれとか。
とりあえず思いつくまま3つあげてみたんですが、こういう盛沢山系のベストが個人的にはそんなに好きではなくて。いやもちろんお得感は素晴らしいと思うんですが、TSUTAYAでレンタルして、iPodには入れるんだけどあんまり聴かないようなポジションに落ち着いちゃうんですよね。なんとなく。
それだったら、2枚組にするよりかは去年のBUMP OF CHICKENのベストみたいに別のアルバムとして出してほしいというか。
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あ、話が戻るんですが20世紀に出たブルーハーツのベストはレコード会社ごとにわかれてるのに2枚組のやつがなぜか多かったのも謎。
というわけで、僕はベスト盤は盛りだくさんであるより 、選び抜かれた曲だけを収録してほしいと思うわけです。ラーメン二郎のように山盛りでおなかいっぱい、というよりは、ちょっと物足りないけど、だからこそそのバンドやアーティストの曲をさらに聴きたくなるような、そんなベスト盤がね、僕の理想です、はい。
ぼくのかんがえるさいきょうのベスト盤
僕の志向をつらつら述べたわけなので、最後にぼくのかんがえるさいきょうのベスト盤というか、僕の好きなベスト盤というか、ブルーハーツの30周年記念のベストもこうなったらいいな、みたいなベスト盤をいくつかあげてみたいと思います。
ブルーハーツ解散後にヒロトとマーシーが結成したTHE HIGH-LOWSのベスト盤は、ブルーハーツのベスト盤とびっくりするほど対照的。まずキャリア全体を要約するような選曲。THE HIGH-LOWSもレコード会社は何度か変えてるみたいんなんですが、ブルーハーツみたいにはなってない、というのがまず素晴らしい。
それでいて、シングル曲でも収録されてない曲がたくさんある。まあ20を超えるシングルをだしてるので、CD1枚に全収録というわけにはいかなかったんでしょうが。それでも2枚組にせず、シングル曲を切るという潔い姿勢がすごい。『砂鉄』とか『 Happy Go Lucky』とか、めっちゃ好きなのでそれが残念っちゃ残念ですが、その物足りなさもまた良し。その物足りなさが、オリジナルアルバムも聞いてみよっかなというモチベーションの源泉だと思うわけですよ。
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すげーありきたりですけど、このクイーンのベストがベスト盤の中のベストかも。キャリアの途中でだされたものなので当然キャリアを総括するようなものではないんですが、しかし素晴らしい。素晴らしさしかない。
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ASIAN KUNG-FU GENERATIONのこれも1枚にまとまっていてよかった。
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ベストじゃなくてリミックス盤ですが、聴いている心地はベスト盤的な何かがあると思うんですよ、はい。これをいいとか言ってるとぶん殴られそうな雰囲気がありますが。
はい、そんなわけで、ブルーハーツの新たなベスト盤はどうなるか。盛りだくさんになるにしろ、あっさり風味になるにしろ、『月の爆撃機』が収録されていれば僕は満足です。