『ちはやふる 下の句』をみました。体調が芳しくなく。クライマックスの山場が終わったところで一時席を立ってしまって、無念。そんな感じなので感想書くのもあれなんですが、以下感想。
彼がかるたをやめる。綾瀬千早を競技かるたの道へといざなった友人綿谷新。今は遠く離れているけれど、かるたを続けていればきっと、いや必ず会える。そのはずだった。その彼がかるたをやめる。『上の句』で告げられたその言葉の真意を確かめるため、千早と太一が福井を訪れるところから、物語ははじまる。
映画『ちはやふる』は、綾瀬千早が競技かるたで強くなろうとする物語、またかるたを続けることで別れた友人≒思い人と再会しようとする物語だ、というようなことを『上の句』をみた時点で書きましたが、『下の句』ではそれがまさに分かちがたく結びつき、遠くにいる友人に自身の思いを伝えるために、彼女は一層、競技かるたにのめりこむ。それが、遠く離れた場所にいる友人に必ず届くのだと信じて。
その千早と太一、そして新の問題が、瑞沢高校競技かるた部の面々にも波紋を投げかけるわけだけれども、『上の句』で十二分にキャラ立ちしていた部員たちが、幼なじみ三人組のドラマが前景化してもなお存在感を放っていたことが、この『下の句』をより奥行きのある映画足らしめていたと感じる。たとえ三人組には三人組のドラマがあったとしても、千早と太一は瑞沢高校競技かるた部のドラマを現在進行形で生きてもいるわけで、しかもその「チームで戦う」ドラマと「遠く離れた友人」とのドラマとが、「離れていても、共に歩んでいるのだ」というテーマによって接続されることによって、一つの物語が編み上げられている。
団体戦でなく、個人戦こそチームの力が強い意味をもつのだ、という逆説。それゆえ、団体戦はさらりと流されてしまうわけだけれど、カメラの外で、都大会では辛酸をなめた机くんこと駒野勉が勝利を手にしたことが、僕は自分のことのようにうれしかったし、千早がこのかるた部の面々とともに歩いてきた時間を、新が電話を通して、あるいは彼らの戦いを見つめることを通して感覚するシーンが非常によくて、この映画が千早・新・太一の三人組の映画である以上に、瑞沢高校競技かるた部の映画であったことが、やっぱりいいなと思うわけです。
そんな感じで非常によかったなーと思いました。続編決まったみたいですが、この雰囲気でやってくれるならもう今から楽しみでならないです。
『上の句』の感想。
結局、漫画もアニメも未だ読めず・見れずという...(よわい)
【作品情報】
‣2016年/日本
‣監督:小泉徳宏
‣脚本:小泉徳宏
‣出演