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その手触り――『ちはやふる 結び』感想

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ちはやふる 結び』をみてもう数か月経ってるのですが、感想だけ。

  高校最後の夏。最後の戦い。

 映画『ちはやふる』完結編は、高校最後の夏に向け、煩悶し揺れる真島太一を主人公にしている、といっても間違いではないと思う。持たざる者が、それでも戦う。天才の意思を宿して、はるか高みの天才に挑む。映画全体を規定する「継承」というモチーフ――それは千年前の歌の思いを読むことであり、また未だ見ぬ誰かに何かを伝えようとすることでもある――をもっとも端的にその身に背負っているのは真島だろう。

 しかし、受け継がれることだけに意味があるのだ、とこの映画は語らない。むしろ一瞬のきらめき、そこに宿るなにがしかの「手触り」のために、おそらく人はすべてを賭けるのだとも教える。それを伝えた原田は、作中の誰よりもそのきらめきを生きている。それを陳腐なクリシェパラフレーズするならば、それはやはり、青春と呼ばねばならないだろう。