宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2019年3月に読んだ本と近況

新年度感があまりありません。元気です。

先月の。

2019年2月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

 印象に残った本

 一冊あげるなら、内田隆三『ロジャー・アクロイドはなぜ殺される?――言語と運命の社会学』。もっとはやくに読んでおけばよかったなと思います。

 内田の探偵論に示唆を得て以下の文章を書きました。

 

読んだ本のまとめ

2019年3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3749ページ
ナイス数:120ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly

 

ハレーション・ゴースト (妖精作戦 PARTII) (創元SF文庫) (創元SF文庫)

ハレーション・ゴースト (妖精作戦 PARTII) (創元SF文庫) (創元SF文庫)

 

 ■ハレーション・ゴースト (妖精作戦 PARTII) (創元SF文庫) (創元SF文庫)
 『妖精作戦』パート2は、オマージュの洪水で作品世界のありようをかなり揺さぶってみせる。学園祭前夜に世界がどんどんめちゃくちゃになっていく様は、明示的に言及されるようにあからさまに『ビューティフル・ドリーマー』なのだが、オマージュの物量でそれすら許容させてしまう力がある、気がしました。
読了日:03月01日 著者:笹本 祐一
https://bookmeter.com/books/4354349

 

 ■ロジャー・アクロイドはなぜ殺される?――言語と運命の社会学
 クリスティ『アクロイド殺し』のトリックはあまりに有名だが、そのトリックが招いた決定不可能性の不安については、誰も思索してこなかった。ただ一人、この内田隆三を除いては。丹念にテクストを読み込み、語り手=犯人の不安定さを暴露し、このテクストが導く、誰が殺した?でも何故殺した?でもない、何故被害者は殺された?という問いの地平を開拓する本書の試みのどれほどを理解できたか非常に怪しいのだけど、しかしそれでもなお本書を読むのはスリリングな経験だった。
読了日:03月10日 著者:内田 隆三
https://bookmeter.com/books/6888663

 

カーニバル・ナイト (妖精作戦PARTIII) (創元SF文庫) (創元SF文庫)

カーニバル・ナイト (妖精作戦PARTIII) (創元SF文庫) (創元SF文庫)

 

 ■カーニバル・ナイト (妖精作戦PARTIII) (創元SF文庫) (創元SF文庫)
長門有希の祖先もまた、宇宙からやってきたんすね。
読了日:03月12日 著者:笹本 祐一
https://bookmeter.com/books/4663688

 

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

 

 ■ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)
 テレビアニメ黎明期から業界に関わっていた著者によるエッセイ風味の通史。『エイトマン』やらなんやらで脚本を書いていたころの体験談がやっぱりおもしろい。あとがきの慧眼ぶりはおよそ10年経った今だからわかろうというものです。
読了日:03月14日 著者:辻 真先
https://bookmeter.com/books/552212

 

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

 

 ■ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
 間宮老人の回想がとにかく強烈で、それだけで一本の小説になりそうなものを長編小説に組み込んでみせる胆力がすげえ。
読了日:03月16日 著者:村上 春樹
https://bookmeter.com/books/575486

 

ラスト・レター 妖精作戦

ラスト・レター 妖精作戦

 

 ■ラスト・レター (妖精作戦IV) (創元SF文庫)
いやー、この結末はずるいです。
読了日:03月17日 著者:笹本 祐一

amberfeb.hatenablog.com

 https://bookmeter.com/books/5544302

 

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

 

 ■ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
 逃げ去る女。井戸に降りる男。イメージが鮮烈で一気に読みました。最後が強烈で、もうこれでよいかなという気持ちになり、第3部はなかなか手につかずにいます。
読了日:03月19日 著者:村上 春樹
https://bookmeter.com/books/573068

 

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究

 

 ■自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究
 『日常に侵入する自己啓発』では、ブルデューが主要な参照軸だったが、それに先立って書かれた本書はフーコーの「自己のテクノロジー」の文脈から自己啓発的なるものを読み解く。とんでもなく大量の自己啓発本を狩猟した著者の努力に敬服です。
読了日:03月24日 著者:牧野 智和

https://bookmeter.com/books/4644844

 

ユーラシア動物紀行 (岩波新書)

ユーラシア動物紀行 (岩波新書)

 

 ■ユーラシア動物紀行 (岩波新書)
 動物地理学を専門とする著者によるエッセイ。フィンランドから出発し、雄大なロシアの大地を横切るような順番で叙述が展開される。たぶん本筋ではない細部なんだけど、シベリアの虻が怖すぎました。
読了日:03月25日 著者:増田 隆一
https://bookmeter.com/books/13433505

 

 ■定本 夜戦と永遠 上---フーコーラカンルジャンドル (河出文庫)
 上巻で扱われるのはラカンルジャンドル。とりわけルジャンドルのセクションが面白く、中世解釈者革命、西洋の特殊性をなぜか普遍に偽装して戦略兵器としている、というような話題がにゃるほど〜って感じでした。何かに憑かれたような文体のテンションもあってぐいぐい読ませる。
読了日:03月26日 著者:佐々木 中
https://bookmeter.com/books/3287746

 

 ■定本 夜戦と永遠 下---フーコーラカンルジャンドル (河出文庫)
下巻では、フーコールジャンドル批判の理路を辿り、そして晩年の大いなる蹉跌までを跡づける。著者が「フーコーに知悉している読者は6章までは飛ばして構わない」旨を断っているが、たしかに『監獄の誕生』から『知への意思』までの議論をたどる該当の章は当を得た要約以上のものではなく、それ以降、ルジャンドルを通してフーコーの「生存の美学」がまさに失敗であったとフーコー自身に理解されてゆくさまを摘出する議論はスリリングでした。
読了日:03月30日 著者:佐々木 中
https://bookmeter.com/books/3300643


読書メーター
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近況

それぞれの生活の神話――『ROMA / ローマ』感想 - 宇宙、日本、練馬

再び円環のなかに――『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3『恩讐の彼方に』』感想 - 宇宙、日本、練馬

 

雑に山形に行きました。

 

amberfeb.hatenablog.com

 

来月の。

 

amberfeb.hatenablog.com