危機。
先月の。
印象に残った本
一冊選ぶならこれです。世界の終わりのただなかにある我々のために書かれた書物です。
読んだ本のまとめ
2020年3月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:5341ページ
ナイス数:232ナイス
https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly
■黄昏の岸 暁の天 十二国記 (講談社文庫)
未曾有の危機に陥る戴国から助けを求めにやってきた女将軍。次第に明らかになる奇妙なシステムの陥穽。異境より来たる王は新たなる王道を切り拓けるか。奇妙な格率に支配された異世界に、なぜ我々の世界の人間が巻き込まれなければならなかったのかという問いに、システムとストレンジャーとの緊張関係でもってある種の解答を与えていると感じる。とにかく続きが気になります。
読了日:03月01日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/574406
■白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)
泰麒、帰還。長い空白の後にまた語られ始めた物語は、ほとんど破局を迎えたかにみえる世界が、それでも継続していく、いかねばならぬが故に語られねばならぬ物語なのであり、廃墟の上に物語を語ろうとする意志の凄みに打ち震える。
読了日:03月05日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/14429939
■白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)
泰麒、虎穴に入る。
読了日:03月15日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/14429940
■白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)
次第に明らかになっていく簒奪者阿選の動機と方法。
読了日:03月15日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/14530570
■白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)
この四巻の冒険は、ほとんど滅びている世界がまだ滅びてなどいないのだと信じること、その信頼を捨てないことの勝利の物語だったのだろうと思う。クライマックスのえもいわれぬカタルシスよ。
読了日:03月15日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/14530571
■ペスト (新潮文庫)
アルジェリア。オラン。忍び寄るペスト。倒れる人間たち。しかしそれでも仕事を続けるものたち。延々と繰延され続ける世界の終末と、それでも終わることのないこの我々の生。よいものは決して滅びないし古びない、そう確信させるに足る傑作だと思います。
読了日:03月15日 著者:カミュ
https://bookmeter.com/books/557289
■知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫nex)
ここでなされるのが(ライトノベルから一般文芸への)越境であるのか、それともライトノベル的無法を一般文芸に持ち込む密輸業なのかはわからないし、そうした二項対立自体が無化されて久しいことは認めつつも、記号的な人間とその記号性を過剰に強調する饒舌、そこに居直る態度を無邪気に肯定するわけにもいくまい。しかしあえてその映画を「知らない」ことにした彼女の選択が、ある種の亡命者の倫理なのかもしれず、死者の前にして我々は、避けがたいこととして、いたたまれない亡命者であることを露呈するかもしれないのである。
読了日:03月15日 著者:竹宮 ゆゆこ
https://bookmeter.com/books/8221325
■わたしたちの田村くん (電撃文庫)
「作家はデビュー作に向けて成熟する」というクリシェがあるが、竹宮もまたそうした形容がまといつくだろうなという予感を感じさせる、荒削りで不器用ながら、作家の最良の部分が露わになっていると感じさせる作品でした。幼くて切実な欲望の綾を書き切っていると感じます。
読了日:03月22日 著者:竹宮 ゆゆこ
https://bookmeter.com/books/562575
■わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)
作中の葛藤をまさに葛藤として読み手に感受させることに成功しているという意味で、この作品は見事に成功している、といっていいのではないでしょうか。ヒロインの記号性は『とらドラ!』なんかより控えめで、それがむしろ美点になっていると感じます。
読了日:03月22日 著者:竹宮 ゆゆこ
https://bookmeter.com/books/572594
■生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書)
昭和前期に生まれ、徴兵され、シベリア抑留され、帰国後結核に侵されて回復し、高度成長のなかをなんとか生き抜いた男の聞き書き。それぞれの挿話のディテールの迫真性がとにかく読ませるが、なかでも都市下層の生活のリアリティは、現在と比して隔世の感が強く、この列島が短くない時の中で得てきたものの巨大さに慄く。
読了日:03月22日 著者:小熊 英二
https://bookmeter.com/books/9760664
■〔少女庭国〕 (ハヤカワ文庫JA)
宇宙、かくして開闢す。
読了日:03月25日 著者:矢部 嵩
https://bookmeter.com/books/13793573
■ストリートの思想 転換期としての1990年代 (NHKブックス)
仲正昌樹『集中講義!日本の現代思想』や佐々木敦『ニッポンの思想』が、80年代からのアカデミックな思想の潮流を的確に整理したとすれば、この『ストリートの思想』はそれらと同時期のオルタナティブな流れの存在を証明するために書かれた書物と言っていいだろう。だめ連や素人の乱の流れに、本書以降に登場したSEALDsはあるのだろうし、この本が書かれたことに大きな意義があることは認める。しかしやっぱり、ストリートの思想も結局負けたのだ、と思う。そしてぼく個人はストリートの思想にそれほどシンパシーを感じない。
読了日:03月27日 著者:毛利 嘉孝
https://bookmeter.com/books/529846
■満願 (新潮文庫)
米澤穂信には、探偵という装置を書くことに対してある種の照れ、もしくは躊躇いがある。米澤の作品において、日常世界に探偵なるごつごつした存在は、剥き出しでは存立し得ない。だから彼の書くテクストに現れる探偵たちは「名探偵」的な振る舞いを忌避し、もしくは失敗する。この『満願』においてその照れと躊躇いとは、探偵を追放することで解消されたと言ってもいいだろう。探偵のまなざしを追放したことで、現実が露呈する瞬間の皮膚のひりつきをより生々しく摘出し得たことに、この『満願』のおもしろみはある。
読了日:03月27日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/12088582
■教養主義のリハビリテーション (筑摩選書)
対談に登場する面々の著作に慣れ親しんでいる読者にとっては、本書の中で批判的に語られる「知っていることを確認する」ための読書になるような気もする。それはそれとして、末尾の大澤の読書論はなるほどなあという感じで読みました。『批評メディア論』を書くにあたっての効率の悪い作業がいかに身になったかという話含めて。
読了日:03月29日 著者:大澤 聡
https://bookmeter.com/books/12775898
■エリザベス女王-史上最長・最強のイギリス君主 (中公新書)
エリザベス2世の評伝。ヨーロッパ外交史を専門にする著者であるが故に、国際関係およびコモンウェルスのなかでエリザベス2世が果たしてきた役割の記述が厚く、また在位期間の長さによってこれ自体が一つのイギリス現代史の通史的な叙述にもなっている。大変おもしろく読みました。
読了日:03月31日 著者:君塚 直隆
https://bookmeter.com/books/15170587
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