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旅の終わりのさみしさと——『ゆるキャン△ SEASON2』感想

TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』オリジナル・サウンドトラック

 『ゆるキャン△ SEASON2』をみていました。これで映画にいく準備は万全よ!以下、感想。

 今日も彼女たちは、離れて、でも一緒に、気ままに旅する。

 『ゆるキャン△』(2018年)の続編として2021年に放映された『ゆるキャン△ SEASON2』は、監督の京極義昭はじめとしてメインスタッフは共通。1期と地続きの世界がゆるやかに広がっていく。これはわたくしの視聴環境が大きく変わったからそう感じるのかもしれないが、終盤の伊豆半島をはじめとして、ロケーションの映し方がより巧みになって空間の広がりを一層感じられるようになり、大きく臨場感を増しているようにも思える。加えて、旅を始めるときの高揚感を想起させるオープニング曲とポップな演出もすばらしい!

 このSNS全盛の時代に「遠くのきみと一緒に旅する喜び」をわれわれに教えた1期の延長として、おのおのの冬休みを別々の場所で一緒に過ごす冒頭の挿話に始まり、友人と姉に見守られつつはじめてのソロキャンプに臨み、そして原付と乗用車でちがう歩幅で一緒に歩くかのような伊豆キャンプで終わるという構成は、それぞれの旅がそれぞれちがった調子をまとっていて、同じ旅などひとつもないということを改めて我々に教える。

 ある種のすぐれたアニメは、最終話に近づくにつれ、このアニメが終わってしまうことのさみしさがいやおうなしに湧いてきて、わたくしなどはそれで結局最終話までみなかったりすることもあるのだが(『ゆるキャン△』1期がまさにそうだった)、この『ゆるキャン△ SEASON2』はそのさみしさと、キャラクターが感受する旅の終わりの寂寥感がオーバーラップして、あたかもわたくしたちのさみしさに寄り添ってくれるような雰囲気をまとっているという点で、とても愛おしいアニメだった。

 無論、彼女たちの旅はまだ続いてゆく——原作の漫画においても、あるいは劇場でも——のだし、またわたくしたちも何度でも彼女たちと出会いなおせるので、旅の終わりはそのさみしさのうちに「きっとまた旅に出る」ということの喜びを織り込んでいるはずである。そうして2010年代のアニメの最良の部分のいくつかが、彼女たちの旅の日常のなかに宿っていることを信じて疑わない。

 

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 このシーズン2が放映された2021年は、いうまでもなく疫病が世界的に人々の生活を責め苛んでいたわけですが、その時にあってこうしたアニメが放映されたことに、なにか大きな価値や意味を読み込みたくなりますね。

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