宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2025年3月に読んだ本と近況

ようやく春めいてきたわね。

先月の。

2025年2月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

印象に残った本

 1冊選ぶなら松沢『歴史学はこう考える』。

 

読んだ本のまとめ

2025年3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2749ページ
ナイス数:113ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly/2025/3

 

■闇の精神史 (ハヤカワ新書)
 ロシア宇宙主義、アフロフューチャリズム、サイバースペース論など、かつて構想され、しかし朽ちてしまった未来のビジョン。それらが別様なかたちで現在に回帰している様を摘出する。著者の他の著作同様、聞き慣れぬ固有名詞がどんどん出てくるので、どのようにしてこうした知のジャンクをかき集めているのかが不思議。
読了日:03月04日 著者:木澤 佐登志
https://bookmeter.com/books/21522237

 

歴史学はこう考える (ちくま新書 1815)
 歴史家が論文を書くとき、いかに史料を読み解き、いかにそこから解釈を引き出しているか。またその暗黙の前提となっている事柄はなにか。エスノメソドロジーという方法論を用いて歴史を書くという営みがいかやるものかを叙述してみせる、異色の入門書です。ブログに感想を書きました。

 読了日:03月05日 著者:松沢 裕作
https://bookmeter.com/books/22093434

 

■翻訳者の全技術 (星海社新書 326)
 ピケティ『21世紀の資本』はじめ、多数の著作を訳してきた翻訳者であり、開発援助系のコンサルでもある著者が、翻訳の技術や読書術、勉強法などなどについて語ったものをまとめたもの。積読に関するセクションは耳が痛くて痛くて…。ブログに感想を書きました。

 読了日:03月06日 著者:山形 浩生
https://bookmeter.com/books/22467156

 

■大図解九龍城
 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』をみたので読んだ。解体前夜の九龍城砦を探検し記録した40ページほどの図録。大判で目が楽しいです。

 読了日:03月07日 著者:九龍城探検隊
https://bookmeter.com/books/75664

 

フェミニズム (思考のフロンティア)
 およそ20年前に企画された「思考のフロンティア」シリーズの一冊で、フェミニズムに関するコンパクトな入門書。女性の権利をめぐる運動の展開に始まり、「身体」、「慣習」、「グローバル」の3つのトピックを中心に、当時の最新のフェミニズム批評の理論的道具立てを解説する構成。フェミニズムとポスト・コロニアルの思想潮流との共振というか、相補的な関係についてなんとなく頭が整理できた気がします。
読了日:03月07日 著者:竹村 和子
https://bookmeter.com/books/362459

 

■星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)
 月面で発見された5万年前の遺体をめぐり、地球の科学者たちが総力を結集する。ハードSFの大古典としてその名も高い作品だが、科学的な意匠を散りばめて作者の構想をちまちま小出しにしていく語りは読んでいて結構しんどかった。しかしオチの部分では大いに驚かされたので、この作品、ミステリばりにネタバレ厳禁なのかもしれません。
読了日:03月11日 著者:ジェイムズ P.ホーガン
https://bookmeter.com/books/574954

 

■危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ
 ここでの『風の谷のナウシカ』は映画ではなく漫画版。朝日新聞デジタルに掲載されたインタビューを集成したもの。とりわけおもしろく読んだのは古典として『風の谷のナウシカ』をとらえ、またそのフォロワーとして『新世紀エヴァンゲリオン』を論じた稲葉振一郎のもの。長沼毅の粗雑な批評は噴飯もの。

 読了日:03月17日 著者:赤坂憲雄,杏,稲葉振一郎,大木毅,大澤真幸,大童澄瞳,叶精二,川上弘美,小泉悠,河野真太郎,佐藤雄亮,杉本バウエンス・ジェシカ,鈴木涼美,鈴木敏夫,竹宮惠子,長沼毅,福岡伸一,宮崎哲弥
https://bookmeter.com/books/20602961

 

■近代美学入門 (ちくま新書 1754)
 「芸術」というカテゴリーの成立、そしてその担い手たる芸術家の誕生から説き起こし、美、崇高、ピクチャレスク(画になること)というものがいかに「発見」され変化していったかを語る。各章ごとにポイントが要約されている親切ぶりで、普遍のものと感じられる芸術にかかわる概念を近代固有の営みとして相対化してくれる、大変啓蒙的な書物。我々がいかに近代に拘束されているか(あるいは近代がどのように我々の感性を規定しているか)、美学という分野を通したある種の近代論として読めると思います。
読了日:03月17日 著者:井奥 陽子
https://bookmeter.com/books/21543305

 

■書物と貨幣の五千年史 (集英社新書)
 書物と貨幣を、その中に価値を内包し不可視化したブラックボックスととらえ、そのようなブラックボックス的なものが人類史上でどのように形作られてきたかを辿る、壮大な試み。「ブラックボックス」がなんでも適用できるマジックワード化している感もあり、様々な思想家やサブカルチャーを引用する語りは時に散漫。特に文脈が必ずしも明確でないかたちでしばしば示されるサブカルチャーの読解は我田引水の感が強く…。アイデアは面白いがそれが十分に洗練されてはいないと感じました。
読了日:03月19日 著者:永田 希
https://bookmeter.com/books/18519501

 

ヘーゲル(再)入門 (集英社新書)
 西洋哲学の完成者としばしばみなされるヘーゲル。本書はその一般に流布した先入観を覆し、ヘーゲル哲学の核心は流動性にあると見立てて、主著『精神現象学』と『大論理学』を読解する。そのように著者のカラーが強く打ち出された入門書で、ヘーゲルの文章を抜粋してそれを読み解きながら進行する構成なので、新書であるけれどもかなりいかつい本である。
読了日:03月21日 著者:川瀬 和也
https://bookmeter.com/books/22318880

 

■ヤンキー 母校に恥じる—―ヨシイエと義家氏
 「ヤンキー先生」としてドキュメンタリーに取り上げられ、その後国会議員に転身した義家弘介を追ったルポルタージュ。関係者に丹念に取材し、その挫折と変節を書く著者は、ドキュメンタリーの制作者でいわば「ヤンキー先生」の仕掛け人ともいえるテレビマン。義家に引導を渡す、そのような気迫に満ちています。ブログに感想を書いた。

 読了日:03月25日 著者:河野 啓
https://bookmeter.com/books/22210072


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近況

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