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コスプレの下部構造────『その着せ替え人形は恋をする』感想

その着せ替え人形は恋をする 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

 『その着せ替え人形は恋をする』をちまちまみていたら2期がはじまってしまったのだった。

 埼玉県さいたま市、岩槻に住む、雛人形屋に生まれた高校生、五条新菜は、高校の同級生、喜多川海夢に雛人形の衣装をつくっているところを目撃され、コスプレ衣装をつくってくれるようお願いされてしまう。友達がいなかった新菜は、コスプレをきっかけにして、海夢と仲を深めていく。

 福田晋一による『ヤングガンガン』連載の漫画のアニメ化。放映は2022年、アニメーション制作はCloverWorks。同クールには同じくCloverWorks制作の『明日ちゃんのセーラー服』も放映されていて、同社の充実ぶりを強烈にアピールしたクールだった。それももう3年前か…。

 いわゆる「オタクにやさしいギャル」と奥手な男子カップルのラブコメで、オタクの妄想を具現化したようなところがある作品であることは否定できないだろう。ちょっとセクシャルなシーンが「コスプレの準備」というエクスキューズで適度に挿入され、わたくしがティーンエージャーだったら大層ドキドキしただろうなと思ってみていた。またそれもあくまで準備の一環でのことなので、作中ではキャラクター同士が性的な雰囲気にあんまりならない。それはちょっとわたくしを安心させるようなところはある。

 そうしたあまりに安易なキャラ配置などは措くとして、コスプレや撮影にかかわるディテールが堅実で、それが作品を救っているようなところがある。衣装づくりの労力は大変なものだし、いままで雛人形の衣装しか作ってこなかった新菜は慣れないことに取り組むので相応に苦労をする。衣装代も撮影のスタジオ代も安くはないし、一眼レフカメラも相当に高価。そうしたコスプレ趣味の背後にある下部構造を適度に示してみせることで、単に安易でちょっとエッチなラブコメではないぞ、という誠実さを感じる。

 そしてなにより、海夢はじめ女性キャラクターはそれぞれキュートで魅力的に描かれていて、彼女たちに向き合う新菜も(ちょっと都合よすぎるレベルで)いいやつなので、みていて楽しかったです。2期もちまちまみていくつもりです。