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ジャンクと模倣────映画『近畿地方のある場所について』感想

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 『近畿地方のある場所について』をみたので感想。

 オカルト雑誌の編集長が、特集記事の原稿を抱えたまま失踪する。編集者の小沢(赤楚衛二)は、ライターの瀬野(菅野美穂)とともに、編集長の残した様々なデータから、特集記事を再構成しようと試みる。ほとんどジャンクの山としか思えない、さまざまな時期に撮影された映像資料の数々だったが、そこに見いだされるのは、近畿地方のある場所をめぐる怪奇現象だった。

 背筋によるネットホラーの秀作を、『コワすぎ!』シリーズの白石晃士監督により映画化。原作がウェブ上で話題になったのが2023年だから、映画化までのスピード感に驚かされる。主演コンビの二人以外は著名な俳優を配していないキャスティングはB級感漂うが、さまざまなウェブ媒体の記事のスクラップという形式だった原作のジャンク感を、ニコニコ生放送やニュース映像の再現などなどバラエティー豊かなメディアの模倣というかたちで再現してみせ、また最後の最後で飛躍する展開は白石晃士の確かな署名という感じで、映画としてはコンパクトにまとまった、満足度の高い逸品だった。

 とりわけ、YouTuberをキャスティングしているニコニコ生放送の再現パートの手触りは印象的で、モキュメンタリーの作家としてキャリアを積んできた白石の手腕が光る。生主の振る舞いや流れていくコメントの再現度は見事。

 原作では語り手的なポジションにあたるライターの瀬野の隠された過去が重要なファクターになるが、そのあたりの仕掛けは映画も共通。映画では車で怪異をひき殺し、バールのようなものを手に事態の元凶に立ち向かおうとするあたりで、もしかしてこれは「倒して終わり」なのか?と謎の期待感が高まるが、彼女の真の目的が明かされるとその期待はむなしく終わる。「子どもを失った女性」というモチーフは、奇しくも今年公開のJホラー『ドールハウス』と共通(わたくしは『ドールハウス』は未見だが)なのだが、この『近畿地方~』のそれはややミソジニーっぽい雰囲気もあり気になったかも。