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花火のように美しく────『ホウセンカ』感想

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 『ホウセンカ』をみたので感想。

 現代日本、どこかの刑務所。死期が迫る老人の枕元から、ホウセンカの声が聞こえてくる。男は元ヤクザで、長期の懲役で服役しているようだった。なぜか男の来歴を知るホウセンカを相手に、男は自身が投獄されるに至ったいきさつを回想していく。

 1987年、どこかの海辺の街。ヤクザの男、阿久津は年下の女、那奈とその息子、健介と、庭先にホウセンカの咲くアパートで暮らし始める。阿久津たちはつつましく穏やかなん日々を送っていたが、バブルの狂騒で羽振りがよくなった阿久津は次第に家を空けるようになる。そんな折、健介の重病が発覚する。命を助けるためには渡米して心臓移植を受ける必要があるという。そのための大金を必要とした阿久津は、兄貴分の堤に助けを求め、敵対するヤクザの仕業にみせかけて組の事務所から金を奪い、ついでに堤にとって邪魔な男を排除しようとするのだが…。

 監督に木下麦、脚本に此元和津也という『オッドタクシー』のコンビが放つ、オリジナル劇場アニメ。アニメーション制作は『映画大好きポンポさん』、『夏へのトンネル、さよならの出口』を手掛けたCLAP。木下によるキャラクターデザインは『オッドタクシー』のように奇抜な大仕掛けがあるわけではないが、素朴で親しみやすさを感じさせる。このキャラクターがときに優しく、ときに残酷さをみせるが、そうした振れ幅を許す懐の深さがある。

 ホウセンカを聞き手に男が人生を回想していく語りは巧みで、「男はなぜ投獄されたのか?」という謎をフックにしながら提示される三人の生活は、地味でささやかだが、冒頭に映される花火のように儚い。そこで示される阿久津の特技や奇妙な行動が、のちの「大逆転」のために布石になっている構成は、『オッドタクシー』のコンビに期待されるストーリーテリングそのものといっていいだろう。

 無骨で不器用な男が生涯を賭けて送ったメッセージはシンプルだが、それゆえ胸を打つものでもある。もっと時代背景などを稠密に書き込めば映画としての格は上がったのではないかという気もするのだが、愛すべき小品というたたずまいの、よい映画でした。

 

 というわけでよい映画だと思うものの、健介の心臓移植をめぐるプロットに居心地の悪さを感じなくもないというところがあり、これはゲーム『デトロイト ビカム ヒューマン』のグッドエンディングの居心地の悪さと通じているような気がする。ブローカーのつてで裏ルートから心臓移植を待つ列に割り込んだことへの葛藤みたいなものは特になく、まあでも親の真情としてはそうやろうなという気もして、でも倫理的に問題あるんじゃないの、とは思ってしまうよね。

 

 

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