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よき人々の世界────『その着せ替え人形は恋をする Season 2』感想

その着せ替え人形は恋をする Season 2 TVアニメ公式ファンブック 嬉しすぎてブチ上げよいちょ!

 『その着せ替え人形は恋をする Season 2』をみたので感想。

 雛人形屋の息子の高校生、五条新菜は、ひょんなことからかかわることになった同級生の喜多川海夢のコスプレ衣装をつくっていくなかで、思わぬ人たちと出会い、またそれまで深くかかわることのなかった級友たちとも接するようになっていく。

 福田晋一による『ヤングガンガン』連載の漫画のアニメ化で、2022年に放映された1期から約3年を経ての2期。その間、原作も完結を迎えたが、アニメは監督に篠原啓輔、シリーズ構成に冨田頼子、アニメーション制作はCloverWorksという座組は継続し、相変わらずキュートなキャラクターたちが画面を盛り上げる。

 1期から画面は十分にリッチだったと思うが、この2期からはさらにゴージャスになり、近年の作品でたとえるなら『ぼっち・ざ・ろっく!』のような自在感で、キャラクターを時に過剰とも思えるほどコミカルに動かし、みていて楽しいアニメになっている。もっとも、1期のリッチでティピカルな萌えアニメという雰囲気からはやや離れてもいて、1期のそれはアニメ化にあたってかなり「正解」に近かったのではという気もするので、2期のせわしない動かしぶりも善しあしかもしれない。わたくし自身は楽しんでみたけれど。

 さて、2期では学園祭で海夢の美貌とコスプレ趣味がクローズアップされることで、付随して新菜の衣装制作の技術が級友にも知られることになり、新菜が教室のなかでも確かな居場所をみつける挿話があったり、それぞれ家族や恋人に自身の趣味を否定されてきたコスプレイヤー、制作者仲間がでてきたりで、ラブコメ空間に広がりと奥行きがでてきておもしろくみた。

 1期からそうだったが、この作品のなかには露骨な「嫌なやつ」がいなくて(天野千歳の元恋人や、緒方旭の母親などは明確に悪い存在として描かれるが、キャラクターというよりは背景に近いだろう)、海夢と新菜の周辺はみんないいやつである。これはたとえば『スキップとローファー』なんかもそうだと思うのだが、そうして明確な敵役をつくらずドラマを展開させていく作劇の手つきには好感をもった。

 そうした作品世界をつくりあげているからこそ、コスプレという必ずしも身近ではない、時に奇異の目をもってみられる趣味を擁護し、その楽しさ、それによってうまれる人間関係の尊さを描くこの作品の主張に説得性が生まれるのだろうとも思う。

 

 

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