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きっと朝焼けのほうへ────『クライム101』感想

クライム101

 『クライム101』をみたので感想。ひとつの理想的なスタイルをもった、素晴らしい映画でした。

 アメリカ合衆国、ロサンゼルス近郊。寡黙な男、マイク・デーヴィス(クリス・ヘムズワース)は、綿密な計画に基づいてフリーウェイ101号沿いで強盗を繰り返していた。暴力は振るわず当然死者もださない、痕跡も残さないその仕事ぶりはほとんど完璧といってよかったが、その仕事の危うさに倦みつかれてもいた。強盗を追う刑事ルー・ルベスニック(マーク・ラファロ)は警察内部では唯一、101号沿いの強盗を単独犯による連続犯行と推理していたが、周囲の理解は得られない。自身を手ごまとするフィクサーの男への不信感からか、あるいはこれで足を洗おうという決意ゆえか、マイクは保険ブローカーの女シャロン・コルヴィン(ハル・ベリー)に接近し大仕事を計画してゆくが、フィクサーの男は若く暴力的な男オーモン(バリー・コーガン)を差し向ける。さまざまな思惑の絡むこの計画は、いかなる結果をもたらすのか。

 『アメリカン・アニマルズ』のバート・レイトン監督による、クライムサスペンス。原作はドン・ウィンズロウによる中編小説。LAの夜を舞台にしているあたり、マイケル・マンの傑作『ヒート』の記憶が強烈に喚起されるが、この『クライム101』のフィルムは早朝5時にはじまり、おそらく結部も朝方に置かれている。この朝のシチュエーションがこの映画全体を規定していて、この種の犯罪映画にはめずらしいくらいのさわやかな結末を迎える。

 ポスト・マイケル・マン風のサスペンス映画としてはかなりよくできていて、俳優の所作や佇まいはそれぞれ美意識を感じさせる撮り方をしているし、ロサンゼルスの街の光は虚無的な魅力を放つ。カーチェイスもリアルさと外連味のバランスがうまい具合にとれていて、それぞれの意志と不作為が交錯するプロットは緊張感があり心地よい。

 しかしこの映画の大きな魅力は、その人物造形の巧みさにある。強盗、それを追う刑事、そして強盗にかかわることになる保険屋の3人が主要なアクターだが、それぞれプロフェッショナルとしての矜持をもち、しかしその不器用さゆえに仕事や生活のなかでままならなさを抱えている。このあたりのキャラクター造形の陰影が実にいい塩梅で、背景の異なることなるこの三者それぞれに絶妙な距離感で感情移入させられてしまうようなところがある。

 そうした男と女に、ままならぬ人生であっても必死であがききれば、きっと朝焼けの場所にたどり着けるのだと教えるような結部のさわやかさよ。わたくしが娯楽映画に求めるほとんどがこの映画のなかにあるといっても大げさではなく、贅沢だというのは重々わかってはいるが、この水準の洋画がつねにシネコンにかかっていてくれたらなんと幸福なことだろうと思う。それくらい、ひとつの理想的なスタイルをもった映画でした。