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響きを繋いでもっと遠くへ────『最終楽章 響け!ユーフォニアム 前編』感想

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 『最終楽章 響け!ユーフォニアム 前編』をみたので感想。

 黄前久美子は三年生に進級。北宇治高校吹奏楽部部長として、目指すは全国金賞。部員たちもその目標を自ら選び取り、順調なスタートを切ったかに思えたが、吹奏楽の強豪校から転校してきた3年生のユーフォニアム奏者、黒江真由の存在が、北宇治吹奏楽部あるいは黄前久美子の心情に波紋を投げかけようとしていた。

 『響け!ユーフォニアム』シリーズの最新作にして、『響け!ユーフォニアム3』をもとにした総集編映画の前編。テレビシリーズの監督である石原立也は総監督にクレジットされ、監督は小川太一が務めるという、2期の総集編劇場版『届けたいメロディ』と同様の座組。川島緑輝と月永求の挿話や、一年生をめぐるエピソードはカットされ、テレビシリーズでは10話に相当する、関西大会での演奏までが描かれる。

 テレビシリーズでは抑制的に描かれた演奏シーンはこの劇場版では存分に描かれ、冒頭の新入生歓迎のため演奏される星野源「恋」、サンライズフェスティバルでの演奏、そしてクライマックスに置かれる関西大会と、それぞれ力の入った見せ場になっている。演奏よりも人間関係の葛藤を強調した心理劇のような趣のあった3期を、1期・2期のようなかたちで再話したようにもとれる。

 冒頭には、久美子が1年次の時の田中あすかとの別れが置かれていて、テレビシリーズ以上に彼女の存在が強調されている。これは関西大会直前の彼女との再会のモーメントをより劇的に演出するための布石でもあろうが、結果として久美子の内心もテレビシリーズとは別様な雰囲気を帯びている。具体的には、高坂麗奈という同級生の親友よりも、すでに吹奏楽部を離れて久しい田中あすかという先輩のほうが、久美子の心中に占める割合が多いように読めるのだ。あがた祭りの際に久美子が麗奈の家を訪れる場面がばっさりカットされていることからも、この映画の描写の方向性として明白だろう。

 そのことによって、冒頭画面にあらわれるSound will connect、すなわち響きが繋がってゆく、ということが一層強調され、久美子にとっての3年生として過ごすこの映画の時間が、より厚みのあるものとして立ち現れてくる。彼女がこだわる「実力主義の北宇治」は、過去、集団内にドラスティックな葛藤を持ち込み、幾人もの先輩の苦悶で贖われたものである。このことが、テレビシリーズのクライマックスであった、彼女が黒江真由に敗れる展開の布石として強烈に機能していることはいうまでもない。

 おそらく、後編ではテレビシリーズではそれほど描写されなかった黒江真由のドラマが厚みをもって描かれるのでは、という予感がある。それによって、テレビシリーズがわたしたちに手渡した「敗者の倫理」が、より強靭なものとして鍛えられることを、わたくしは強く期待しています。

 

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 わたくしがテレビシリーズ3期を高く評価しているのは、なにより黄前久美子が敗北したこと、それを自ら選び取り引き受けたこと、それを誇り高い振る舞いとして描ききったことにある。後編で彼女が全国大会のソリを吹く、という展開は考えられますが、もしそのように描写するのであれば、なんらかのアクロバットを期待したいところですね。主人公を黒江真由にすることによって、「黄前久美子の勝利」ではなく「黒江真由の敗北」に焦点化するとかね。しかし、キャラクターにもっとも負荷をかけられるのは「黄前久美子が敗北する」という展開だと思うので、やはりわたくしは、テレビシリーズの原作からの飛躍を高く買いたいわけですね。

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以下、1期からの感想。

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