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かすかでも確かなやさしさ────『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』感想

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 『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』をみたので感想。

 魔法がありふれて存在する世界。リディル王国のなかでもとりわけ魔術の能力に秀でた七賢人の一人、最年少のモニカ・エヴァレットは、世界で唯一の無詠唱魔術の使い手であった。しかしその無詠唱魔術は、引っ込み思案な性格を補うための工夫で見出したもので、本人は山中に引きこもり人目を避けて暮らしていた。そんな折、同じく七賢人の一人、ルイス・ミラーから、名門校セレンディア学園に身分を隠して潜入し、第二王子フェリクス・アーク・リディルの護衛の任を強引に与えられる。卓越した魔術の力を持ちながら、コミュニケーションに著しい難を抱えるモニカは、この大任を果たすことができるのか。

 依空まつりによるライトノベルのアニメ化。総監督に『この素晴らしい世界に祝福を!』の金﨑貴臣、監督にいわもとやすお、アニメーション制作はStudio五組。元が異世界を舞台にしたミステリ風味のウェブ小説、ということで、『薬屋のひとりごと』の成功を踏まえてか、結構力のはいったアニメ化になっているという印象を受ける。画面のつくりが丁寧で、照明が上品に使われていて、意外なほど格調高い。オープニングとエンディングをどちらも羊文学が担当していて、それを聴くだけで結構満足感がある。

 キャラクターデザインやキャラクターの造形は類型的だが、それが傷になっていないというか、卓越した力を持ちながら人間的には未熟であるモニカが魅力的描かれていて、好感をもってみた。これは声をあてた会沢紗弥の力によるところも大きいだろう。引っ込み思案な主人公の周囲に、個性豊かな男性陣、親しみのもてる同性の友人たちを配する構図は、結構少女漫画ちっくというか、少女小説的かもしれない。

 陰謀に巻き込まれ、時に親しい友人すら敵として立ちはだかる困難な道のなかで、それでも優しさと誠実さを失わないモニカのキャラクターには素朴に勇気づけられるところがある。ティーンエイジャーの感情移入の対象としては(同じく卓越した力を秘めた少女である)『薬屋のひとりごと』の猫猫よりもこちらのほうが健康的かも。余計なお世話だが…。