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この日々を愛おしんで────『ARIA The ANIMATION』感想

「ARIA The ANIMATION」オリジナルサウンドトラック vinyl edition [2LP] - Choro Club feat. Senoo他 [Analog]

 『ARIA The ANIMATION』をみたので感想。

 西暦2300年。テラフォーミングにより、「アクア」という名で呼ばれるようになった火星。イタリアのヴェネツィアを再現した都市、ネオ・ヴェネツィアで、観光案内人の「ウンディーネ」をめざす少女、水無灯里が、さまざまな人と出会い、時を重ねていく。

 天野こずえによる漫画作品を、佐藤順一監督でアニメ化。放映は2005年だからもはや20年以上前のテレビアニメということになり、結構おどろく。アニメーション制作は東映動画の流れを汲むハルフィルムメーカー。いまはもう名前のなくなってしまったスタジオで、否応なしに時の流れを感じる。

 古賀誠によるキャラクターデザインは原作のあたたかみのある雰囲気をよくいかしていて、いまでも古びた感じはしない。時にコミカルに表情がデフォルメ化する藍華・S・グランチェスタら少女たちはキュートで、この作品の大きな魅力になっていることに疑いはない。

 そんな少女たちの日常を映すこのアニメは、「終わらない日常」ではなく「いつか終わってしまう日常」としての日々をしばしば意識させることで、穏やかななかにある種のさみしさのようなものが入り混じる、居心地がよいのだがずっとそこでやすらうことができないような時空を立ち上げている。「いつか終わってしまう日常」を描くのは、のちの『けいおん!』然り、日常モノの王道といってもいいと思うが、「終わり」の意識のさせ方、前景化の度合いはこの『ARIA』の特徴的なポイントかもしれない。

 とりわけそれが強烈に効いているのが第11話「その オレンジの日々を…」で、心地よい関係がいつか終わってしまうかもしれないことへの恐れ、しかしそれを乗り越えてみせる軽やかなたたずまいが、この作品を象徴する、ポジティブなやさしさにあふれる挿話だった。牧野由依の「シンフォニー」が印象的に使われるこのエピソードが全体のハイライトといってもいいだろう。

 久々に故・川上とも子の声を聴いて、それも無性にものさみしくさせたのであった。