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銀河レベルの反社会的少女────『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』感想

銀河特急 ミルキー☆サブウェイ

 『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』をみたので感想。

 遠い彼方の銀河系、あるいは町田市近郊。銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間のチハルとサイボーグのマキナ。刑務所は犯罪者でいっぱいのため、軽微な犯罪を犯したものは社会奉仕活動への従事を経て放免されることになっているのだが、チハルとマキナは古びた列車、ミルキーサブウェイの清掃を命じられる。一癖も二癖もありそうな連中と列車に乗り込み清掃をはじめようとする二人だったが、列車は突如として走り出してしまう…。

 2022年、卒業制作としてウェブ公開された『ミルキーハイウェイ』で一躍その名を知らしめた亀山陽平による、同アニメの続編。一話3分半で全12話というエコノミックなつくりで、SF的な舞台設定でミニマルな味わいの会話劇が展開される。そしてクライマックスには大アクションが展開される大サービス!

 主人公のチハルを演じるのは『負けヒロインが多すぎる!』の文芸部員・小鞠知花役の寺澤百花で、同作でもどもり口調のヒロインを印象的に演じたが、今作では黒沢ともよ感ある生っぽい演技で銀河レベルの反社会的少女を演じている。その全体的な演技の生っぽさがこの作品の大きな魅力で、婦警役の小松未可子なんかもダウナーな感じがとてもよかったりした。

 全体で40分程度という短編ながら、さまざまな見所がその短い尺ゆえに圧縮されていて、それがおもしろさにつながっていることは間違いないのだが、上述した声優のディレクションの巧みさをみると、もうずっと声優に無駄話させているだけでおもしろいんじゃないかという気もしてくるので、タランティーノばりにぐだぐだやる会話劇を撮ってほしいなあと思いました。