宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2人の巨匠の「遺言」―宮崎駿『風立ちぬ』と高畑勲『かぐや姫の物語』が伝えたかったこと

先日、『かぐや姫の物語』が、(延期はしたけれども)無事公開された。宮崎駿の引退宣言もあり、おそらく長年ジブリの顔だった二人の長編映画は、もう見られないだろうと思う。その意味で、多分2013年は、2人の巨匠の作品が最後に世に出た年として歴史に残るん…

『かぐや姫の物語』 世界はかくも美しい

昨日、高畑勲監督『かぐや姫の物語』を見に行った。予告編でも、その超絶な作画の一端を見ることができたが、本編も予告と比べて遜色なく、いや、むしろ予告で見せた以上の唯一無二の美麗な場面の連続。137分全てが見せ場といっても過言ではない、すごい映画…

『お嬢さん乾杯!』 原節子の演技は色褪せない

木下恵介監督『お嬢さん乾杯!』をHuluでみた。木下恵介監督の作品は『陸軍』、『二十四の瞳』をみたが、それらとはまた違った味わい。労働者の男と没落した名家のお嬢さんとの関係を描く、直球のラブコメディだった。戦後直後(昭和24年)に撮られたラブコメ、…

『世界にひとつのプレイブック』 最後のセーフティネット=家族

『世界にひとつのプレイブック』をみた。予告編を見る限り爽快な感じで終わりそうだし、なんかアカデミー賞にいっぱいノミネートされてたし、みたいなあんまり積極的でない動機からみることに決めたのだが、予想をはるかに上回る爽快感、面白さだった。俳優…

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』における「叛逆」とは何か?

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』をまた見に行った。一度目は物語の核である、「叛逆」とはいったいなんなのか、正直つかめないまま観終えてしまったが、2度目の鑑賞でだいぶつかめてきた感がある。なので、それを書きとめておきたい。叛…

『127時間』 壮絶な映画体験。壮絶なバイオレンス。

『127時間』をみた。ダニー・ボイル監督作品ということで、みたいみたいとは思っていたが、どう考えてもつらそうだし、痛そうだし、見るのを何となく避けてきた。つい先日、意を決してTSUTAYAでレンタルして、鑑賞することにした。結果、想像以上に感情が、…

傑作ロボットアニメの共通点Ⅱ―ラストバトルの想像力

先日、『天元突破グレンラガン』と『STAR DRIVER 輝きのタクト』というケッサクロボットアニメを比較の俎上にのせ、ロボットの動力という両者の共通点を指摘した。 傑作ロボットアニメの共通点―『天元突破グレンラガン』と『STAR DRIVER 輝きのタクト』 - 宇…

傑作ロボットアニメの共通点―『天元突破グレンラガン』と『STAR DRIVER 輝きのタクト』

先日Blu-ray Boxを購入した『天元突破グレンラガン』を観た。放送当時、とびとびながら見ていたのだが、ちゃんと全話通してみるのは初めて。正直、今まで見てこなかったのを後悔するレベルで面白くて、あっという話にテレビシリーズを全話見てしまった。比類…

今こそ見るべきアニメ、『モノノ怪』―中村健治監督の原点として

前クールで、最も注目を集めたアニメが『ガッチャマン クラウズ』であったことは間違いない*1。その先の読めない展開と現代的なテーマによって、『ガッチャマン クラウズ』は今年のテレビアニメの中でも最高の面白さを誇っている。 『ガッチャマン クラウズ…

木下恵介監督 『二十四の瞳』 昭和の時代の人々とは

木下恵介監督『二十四の瞳』を観た。先日『陸軍』を観て以来、木下監督の作品をみたいみたいと思っていはいたんだけれども、なかなかその機会がなかった。しかし先日加入してみたHuluで、いくつか木下監督の作品を観ることができると気付いたので、さっそく…

声優・檀臣幸氏を偲ぶ

俳優・声優として活躍されていた檀臣幸(だん ともゆき)氏が、先月10日に亡くなった。ご冥福をお祈りいたします。 氏は俳優としても、声優としても幅広く活躍されていたようだ。しかし、自分にとっては、魅力的な、洋画の吹替え声優の一人、というイメージだ…

耐えられない「バイオレンス」の軽さ―アニメ・ゲームにおける暴力描写に関する雑感

先ほどまでHuluで『ゆるゆり』を見ていたのだが、ひとつ気になることがあった。かわいらしい女子中学生が、からかわれたりなんなりの報復行為において、ためらいなく暴力=「バイオレンス」を行使するのである。かわいらしい中学生が。結果的にそれは、ギャ…

網野善彦 宮田登『歴史の中で語られてこなかったこと 』を読んだ

新版 歴史の中で語られてこなかったこと (歴史新書y) 作者: 網野善彦,宮田登 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2012/06/06 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 『歴史の中で語られてこなかったこと 』を読んだ。歴史家網野善彦氏と、民俗学者…