『パシフィック・リム』3D・吹替版を後輩たちと見てきた。『風立ちぬ』2回目も見たんだけど、それについいてはまた後日。『パシフィック・リム』、素晴らしい娯楽映画でした。1秒も退屈しなかったといっても過言ではない。映画館で見てよかったと思える映画だった。以下で『パシフィック・リム』の魅力について書きとめておこうと思う。
重厚で、かつ爽快感ある戦闘描写
まず、言うまでもなく戦闘描写が素晴らしい。巨大ロボット=イエーガーと敵である怪獣ともに魅力的に描かれていることと、動きにとんでもない重量感があり、途轍もなく迫力を感じることの2点がそう感じた理由だろう。
怪獣の見た目はおぞましく、しかもなんの躊躇もなく破壊の限りを尽くして人類を屠っていくため、恐ろしさは半端ではない。どことなく爬虫類っぽい、リアル感があり凶悪そうな造形が、それに拍車をかけている。敵として強力なものとして、魅力的に描写されているわけだ。
それに立ち向かうイエーガーが、かっこよくない訳がない。中国のクリムゾン・タイフーン、ロシアのチェルノ・アルファは、あっさりと怪獣の手にかかってしまうのだが(この点は若干残念でもあった)、それがなおさら人類側の劣勢を際立たせ、イエーガーの魅力を引き立てているといえよう。
また、イエーガーが各機体ごとに独自の特徴づけがなされ、それをいかして怪獣と戦うのもいい。中国製のクリムゾン・タイフーンは3本腕とトリッキーな動き、ロシア製チェルノ・アルファは鈍重ながら強靭な腕力と厚い装甲をもつなど。なおさらその活躍が描写されなかったところが惜しまれる。
主人公機のジプシー・デンジャーは、まさに主人公機という感じでいい。改修された時代遅れの機体が、様々な武器を駆使して怪獣に立ち向かう姿は見ていて爽快だ。また、動きの見栄の切り方がロボットアニメを彷彿とさせるもので、見ていてにやりとする場面が多かった。「ガンダム大地に立つ」のガンダムを完全にオマージュしたシーンなんかはとんでもなくかっこよかった。
もうひとつの魅力、動きの重さについては実際に見てみてほしい。エヴァンゲリオン旧劇場版の、2号機対エヴァシリーズを彷彿とさせる重量感だった。この重みが、ロボットと怪獣という非現実的な存在にある種のリアリティを与えているなあと感じた。
吹替えの魅力
今回、吹替え版を観たのだが、これがまた素晴らしい。主演の杉田智和氏こそ吹替えではあまり聞かないが、他の声優陣は玄田哲章氏や千葉繁氏をはじめとする吹替えでよく聞くなーというベテラン声優陣で固められ、なんとなく安心感があるし、吹替えおよびアニメファンにとってはその演技を聞くためだけに行く価値があろうというもの。
アニメといえば、冒頭は杉田智和氏の「異星人なんて~」とかいう内容の語りなのだが、これは何かを想起させないだろうか。そう、『涼宮ハルヒの憂鬱』である。この何とも言えない偶然に、俺と後輩は声を押さえられなかった。アニメなぞ見ないという人にとってはさぞ不可解であっただろう。杉田氏の吹替えの印象は、以下の予告で聞いた通り。「ロケットパーンチ!」は歴史に残る名台詞になるに違いない。
映画『パシフィック・リム』本予告 杉田智和吹替え版 - YouTube
また、吹き替えによって字幕を追わなくて済んだからか、3Dによる目の疲れは殆ど感じられなかった。これは後輩も同様の感想を抱いていたので、3Dが苦手という方は吹替え版に挑戦してみるのもいいのでは。
今回の記事のタイトルは、パンフの小島秀夫氏のインタビューから引用した。日本に住んでいて、アニメや特撮などに抵抗が無いよ、という人間は、這ってでも劇場に行ってみるべき映画だ。
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