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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

イカレっちまった悲しみに―『ウルフ・オブ・ウォールストリート』感想

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 マーティン・スコセッシ監督の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を見てきた。実在の人物ジョーダン・ベルフォードの回顧録をもとに、ウォール街で巨額の財を成した男の栄光と没落を描いた映画。3時間という長さだというのを事前に知っていたので、正直集中力が持つかどうか不安だったが、退屈さとは無縁な、ぶっとんだ3時間を過ごさせてくれた。この映画の魅力は、なんといってもレオ様ことレオナルド・ディカプリオの想像の斜め上をいくぶちぎれた演技だと思う。

 あらゆる欲望の権化、ジョーダン・ベルフォード

 レオ様演じるジョーダン・ベルフォードという男、これがマジでとんでもない。劇中で薬を決めてラリってる時間は、間違いなくラリってない時間より多い。3時間あるうちの2時間くらいは間違いなくクスリをキメて躁状態みたいな感じ。そんなんだから、レオ様のテンションは常時おかしい。『ジャンゴ 繋がれざるもの』でも、狂った白人カルビン・キャンディ役でいかれっぷりを見せつけたのが印象的だったが、今回はキャンディ以上のハイテンションでシャウトしまくる。ドラッグをキメて女とやりまくり、違法な手段で大金をせしめようと画策する。

 いやー、このディカプリオの演技を見ているだけで正直3時間なんてあっという間に過ぎてしまった感が。特に印象的だったのが、ドラッグを決めた状態で、とんでもない危機に陥っていることを知ってそれを回避するために四苦八苦する一連のシークエンス。地べたをはいずりまわって、階段を転げ落ち、呂律が回ってない中で必死にあがく姿は抱腹絶倒必至。珠玉のアクションシーンですよ。

 そんなディカプリオの脇を固める俳優陣もよかった。特にジョナ・ヒル。『マネーボール』の時と同じく、太陽のごとき主演俳優を見事に引き立てていた。そんな彼らあってこそのディカプリオであるのは言うまでもない。

 

イカレずにはいられないカネの魔力

 そんな風に常軌を逸したイカレ具合をこれでもかと発揮するジョーダン・ベルフォードなんですが、彼を狂わせたのは間違いなくカネの魔力。多分オンナもドラッグも、カネの魔力に付随するものでしかない。カネに人生を狂わされて破滅への道をひた走る、という点では『グッドフェローズ』と重なる気もする。しかしカネとパラレルな形でマフィアという社会悪、ワルのかっこよさにも惹かれた人間がズタボロになる『グッドフェローズ』に対して、金融業に携わる人間を主軸に据えた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』はよりカネの恐ろしさが焦点化されているような印象。

 ジョーダンの行きついた先が、それこそ資本主義の原理を透徹させた必然の結果なのだよ。そんなメッセージすら感じるというか。カネのためにカネを求め続けるという倒錯こそ、ジョーダンにとっては生そのものであって、それ以外の道は目にとまることはなかった。普通の人間がウォールストリートという魔境によって、なによりカネの魔力によってイカレていく様。それは滑稽である以上にどこか儚く、物哀しい。

 『グッドフェローズ』は、いとも容易く切り捨てられるチンピラ達の悲哀を描いたが、それと通底するものは本作にも流れていると思う。流れているけれども、しかしジョーダンは切り捨てられてもただでは起きない。それを象徴するラストシーンに、資本主義社会がいまだ「機会と希望のシステム」であるかもしれない、という願いが込められているような、いないような。

 そんな『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が、僕はとても好きです。

 

【作品情報】

‣2013年/アメリカ

‣監督:マーティン・スコセッシ

‣脚本:テレンス・ウィンター

‣出演

 

 

 

 

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