ちまちまみていたアニメ『呪術廻戦』2期、ようやく見終えました。
原作が最終決戦を展開するなかで放映された2期。1期もすぐれたアダプテーションがなされていたと思うが、この2期はこの挿話があるだけで作品自体が輝きをもってしまうというレベルの回(それはたとえば『Fate/Apocrypha』第22話「再会と別離」のような)が何度も出てきて唸らされました。
最強の男の若き日、親友との決別を描く「懐玉・玉折」編はタイトにまとまっていて、時折エモーショナルな劇伴が強烈な印象を残す。一方で虎杖たちが苛烈な運命に晒され、そして仲間たちが大きな傷を負い、あるいは死んでいく「渋谷事変」編は、原作が「化けた」ターニングポイントだと思うのだが、原作の熱量をさらに超えていく、アニメーターがその技と個性を贅沢極まるかたちで発露させた、異様なボルテージをまとっている。2023年時点の渋谷を切り取ったリアリスティックな美術をバックに、呪われしものたちが血みどろの戦いを繰り広げるさまは、現在の超人異能バトルの一つの到達点といっていいでしょう。
Twitter上ではアニメーターから労働環境の過酷さを告発する声もあがっていたようだが…しかし、このレベルのテレビアニメをみることができることは、一視聴者として疑いなく幸福でありました。
とりわけお気に入りのエピソードは、虎杖と脹相の戦闘が描かれる「赫鱗」。荒井和人、砂小原巧による絵コンテ、演出回で、赤血操術による攻撃の恐るべき速度、トイレに舞台を移してからの『ザ・レイド2』オマージュ濃厚な格闘戦、それらがまさに命の削りあいであることを否応なしに伝える生々しい痛み。宿儺対漏瑚、宿儺対魔虚羅、そして虎杖&藤堂対真人等々、鮮烈な対決に彩られたこのアニメのなかでも、とりわけ素晴らしかったと思います。
それと羊文学によるエンディングは、『交響詩篇エウレカセブン』における高田梢枝「秘密基地」に匹敵する風格でほんとうによかったですね!
原作もいよいよ決着まで残り少ない予感もしますが、今後もこの熱量のアニメがつくられるとしたら、楽しみというほかありませんわね。