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世紀末の遺産——アニメ『スプリガン』感想

Netflixオリジナルアニメ「スプリガン」始動。2D作画×3DCG「鮮烈な映像」 - AV Watch

 Netflix版『スプリガン』をみました。以下、感想。

 古代に存在したという、現代をはるかに超える科学力をもった文明。その遺産を悪意をもったものたちから守るため結成された組織、アーカム。そのトップエージェントは、財宝を守る妖精の名にちなんで、スプリガンとよばれた。日本の高校に通う少年、御神苗優もその一人。古代の超技術の遺産をめぐり、御神苗は世界を駆け巡る。

 たかしげ宙原作、皆川亮二作画による漫画をアニメ化。監督は『ひそねとまそたん』、そして現在放映中の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の小林寛、アニメーション制作は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのdavid production。1998年公開の映画版は、大友克洋が総監修を務め、ソリッドな作画がいまだに鮮烈な印象を残す大作だったが、それに比べるとこちらは原作の雰囲気をくんで、ポジティブな意味でB級娯楽作品感が漂う。

 映画版では江口寿史のキャラクターデザインが硬質な印象を残したが、こちらのキャラクターデザインは『リトルウィッチアカデミア』の半田修平で、このキャラデザのおかげでルックはかなり現代っぽい印象になっている。とりわけ、トレジャーハンターの少女、染井芳乃は、伊瀬茉莉也の好演もあってとってもキュート。男性キャラクターにはやや迫力の欠けるところもあるが、半田修平というアニメーターは錦織敦史足立慎吾らと並んで、現代的なキャラクターのスタンダードというか、メインストリームを形成する一人だと感じた次第。

 ルックの面でいえば、アクションシーンでは基本的に3DCGのキャラクターを動かしつつ、表情などは作画で描写するという方針がとられていて新奇。これによって物量のあるアクションシークエンスを長時間盛り込むことができるようになったものと推察するし、効果をあげている場面もあるとは思うんだけど、だが映画版の超絶作画が頭に残っているので、どうしても「ほどほどによいが滅茶苦茶すばらしくはないな...」という感じになってしまうのはもったいない。これは3DCGで人体を動かした際に映えるカット割りや構図なんかが洗練さえれいけば印象も変わるのかもだけど。

 総じて楽しい時間を過ごしたので、続きも楽しみです。しかし、『スラムダンク』といい、20世紀リバイバルがきているわね。

 

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