『スクライド』を久しぶりに再見したのだった。
21世紀初頭の日本列島。神奈川県で原因不明の地殻の大規模な隆起が発生。「ロストグラウンド」と呼ばれる大地が誕生し、都市部と荒野のごときスラムの二極化が生じた。ロストグラウンドで生まれた子どもは「アルター」とよばれる異能力を宿していることがあり、そのアルター使いの取り締まりのため、武装警察機関「HOLD」内に、アルター能力者による部隊「HOLY」を設立される。ロストグラウンドのスラムで生まれ育ったカズマ。名家の子息だが非業の事故で母を亡くし、いまはHOLY隊員である劉鳳。この二人が出会うとき、ロストグラウンドを揺るがす運命が動き出す。
2001年放映、谷口悟朗監督、黒田洋介脚本による、異能力バトルアクション。00年代の谷口悟朗は『プラネテス』、『ガン×ソード』、そして『コードギアス 反逆のルルーシュ』と快作を次々送り出すことになるが、この『スクライド』はその嚆矢といっていいだろう。キャラクターデザインは『機動戦士ガンダムSEED』の平井久司。谷口作品では『無限のリヴァイアス』に続く起用で、キャラクターを記号的に立てていてうまさを感じるが、四半世紀たったいま眺めるとやはり時代を感じるデザインではある。それは平井の技巧云々ではなく、平井のラインがメインストリームであった時代から遠く離れた、ということなのだろう。
かなり久々に見返したのだが、劇場アニメに匹敵する高密度の画面が当たり前のようにあらわれる2026年時点のテレビアニメ(の上澄み)と比べると、やはり見劣りするのは否めず、記憶の中で結構美化されていたのだなと感じた。ほとんど崩れない(ある種の「崩れ」はむしろクリエイターの作家性のあらわれである)現在のハイクオリティなテレビアニメと比べると、キャラクターの作画は作画監督の個性をコントロールしきっていない揺らぎが結構出ているように感じる。しかし同年放映の『学園戦記ムリョウ』なんかはかなり安定しているので、このあたりは平井のデザインの一つのウィークポイントでもあるのだろう。アクションのエフェクトとして3DCGもときたま使われているがまだそれほどの洗練を感じず、いかにも異物感がある。
しかしそうしたルックの面でのオールドファッションな印象に対して、逆境のなかで自らの意志を貫こうとするカズマや劉鳳のドラマはいまみても十二分におもしろい。カズマを演じた保志総一朗、劉鳳役の緑川光、このダブル主演はまさに代表作というにふさわしい、気迫みなぎる熱演ぶり。いまはALSで闘病している津久井教生のストレイト・クーガーも鮮烈な印象を残す。異能バトルとしては決してロジカルではないが、それでも何も問題ないのだという勢いがある。
それが頂点に達するのが、カズマと劉鳳が共闘して強大な敵、無常矜侍を打ち倒したあとのエピローグ、最終話「夢」。二人の男がそれぞれの自己満足のためだけに拳を交わすこの挿話で、作品の格がひとつあがっている。
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この『スクライド』から四半世紀ですが、谷口悟朗の健在ぶりはやはりうれしいですね。

