『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を2D・字幕版でみました。正直、前作は嫌いじゃないんですけど、敵役レッド・スカルがあんまり魅力的に感じなかったりするところとか、中盤以降の単調な展開とかでそんなに手放しで好きといえる作品じゃなかったんですが、予告編に心を奪われまして。それで見に行こうと思ってはいたんですがなかなか機会を作れず、4月中には見に行けなかったんですがやっと見れました。
で本作ウィンター・ソルジャーですが、予告編から感じた予感通り、いやその期待以上に面白かった。以下で感想を書いておこうと思います。
キャプテン・アメリカが走る!殴る!投げる!
『アメイジング・スパイダーマン2』もそうでしたが、本作も続編だけあって、序盤からアクションのテンションは最高潮。いきなりエンジンが温まった状態から物語を始められるのは、やはり続編ものの強みだな―と感じました。
前作でもみせたキャプテン・アメリカの超人アクションの切れ味は、本作でさらに増している。全速力で走っているだけでこんなに絵になるとは。格闘シーンはボーンシリーズを彷彿とさせる方向に進化。細かいカット割りがスタイリッシュ。キャプテン・アメリカさんはジェイソン・ボーンさんと違って漫画的な超人だから、殴られた敵があほみたいに吹っ飛ぶし、扉など意に介さずといった様子で当然のごとくぶち破って進む。これがたまらなく楽しい。この楽しさだけでもとをとった気になりましたね。
加えて、本作はキャプテン・アメリカと対峙する敵もまた魅力的。ウィンター・ソルジャーはまさしく戦闘マシーンといった風情で、迷いなく目標を殺害しようとする様がかっこいい。こういう無感情戦闘マシーンって、物語的には戦いにドラマがなくなって戦い自体も熱さがなくなってしまいがちな気もするんですが、ウィンター・ソルジャーさんはあくまで戦闘マシーンに徹しつつも、敵としての魅力は損なわなかったように思う。それはやっぱり格闘の切れっぷりとか、銃器の取り回しとか、見掛け上の魅力が半端なかったからだと思うんですよね。
ウィンター・ソルジャー自体は、なくなった記憶、キャップとの因縁とかのドラマを背負っているわけですよ。それでもなお戦う場面では戦闘マシーンに徹していたのがいい。へんに同情心でバトルが有耶無耶になったりしたら、それこそ興ざめですからね。というわけで、ことアクション方面に関しては全く文句ない。ファルコンもかっこよかったし。
正義と悪は同じ穴の狢にすぎない
単調な展開が目立った前作と比べて、本作はストーリーも二転三転スピード感を失わないまま進むので、よかったなあと思います。キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウの移動が瞬間移動レベルじゃねーかとか、あのピンチはどう切り抜けたんだとか突っ込みどころはあるわけなんですが、それでもなお満足感は高い。
そのストーリーで感心したのが、アメリカ的な正義とファシズム的な支配が、同じところに行きつくのではないかという疑問、その両者の親近性というのテーマが根底に流れていたこと。前作では、アメリカ=正義、ヒドラ=悪という単純な二項対立図式をなんの疑いもなく提示していたと思うんですが、舞台を現代に移した本作では、その二項対立図式の脱構築が図られていたように読むことが可能ではないか。
現代アメリカの軍事力をある意味で象徴するS.I.E.LDと、ファシズムの残滓たるヒドラ。両者の理念の徹底化の先にあるのは、全く別の社会などではなく、むしろ非常ににかよった社会である。そのことが、かなり直接的に示されていたように思う。思えば『アイアンマン』から、アメリカの軍事政策のネガティブな側面を軽く描いていたし、『アベンジャーズ』では、アメリカ的な世界秩序に対する疑念が読み取れないこともない。しかしそれらの先に、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は歩を進めた。マーベル映画でこんな大胆なことをするとは。『キングダム/見えざる敵』かよ!とひとりで快哉を叫びたくなりましたね。
『ゼロ・ダーク・サーティ』 と『キングダム/見えざる敵』 復讐の先にあるものは - 宇宙、日本、練馬
とはいえヒーロー映画のさだめか、アメリカ的なる理念、それを支える個人個人の良心は疑いえないし称揚されるべきものである、という点に着地したことは予定調和感がありありだったのも否めない。アメリカ的な支配の在り方は否定しても、その高潔な理念は否定できない。それまで否定しだしたら王道ヒーロー映画なんて成立しえないとも思うので、妥当なゴールだとは思うんですけどね。
というわけで、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、とっても好きです。
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