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新たな神々の咆哮――『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想

【チラシ付き、映画パンフレット】ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 通常版

 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を2D字幕版でみました。以下感想。

  巨大な怪獣の存在が世界中に知れ渡ってから5年。世界各地で眠りにつく怪獣たちは特務機関モナークによって監視されていた。彼らが目覚めるとき、我々の見知った世界は終わる。そして怪獣たちが跋扈する新たな世界が現れるのである。

 『ゴジラ』および『キングコング 髑髏島の巨神』に続く、モンスター・バース3作目は、物量とスケール感では前2作をはるかに上回り、この地球上を怪獣たちが支配する新たな世界の始まりが描かれる、いわば創世記ともいうべき内容になっている。

 この作品のなかで、怪獣たちはちっぽけな人間どもなど基本的には気にも留めず、それぞれが勝手気ままに暴れまわり、あるいは覇権をめぐって激突する。このような事態を招いたのは過激なエコテロリストではあるのだが、彼らは怪獣を十分には制御できない。このような怪獣のありかたは、生物というよりは自然現象のような趣すらある。火山の噴火ととともに目ざめるラドンや、天候を操りハリケーンの中心部に陣取るキングギドラらの姿も、そうした怪獣=自然現象的な連想を導く。この感覚は、「自然現象ではなく生物なのだから駆除できる」という論理で動いていた『シン・ゴジラ』と対照をなすかもしれない。

 地震、台風、洪水、それら人間の意志を超越してやってくる自然災害に、かつての我々は神の徴をみた。こうして怪獣を自然災害と重ね合わせることで、『キング・オブ・モンスターズ』は怪獣を神の領域に接近させる。この映画は、なによりその神々の闘争を美しく切り取りたいという欲望に支えられていて、それは十二分に達成されていると思う。スクリーンに映し出される神々しい輝き、あるいは身体を振動させる咆哮、それに慄くことがこの映画の経験のアルファでありオメガなのです。

 

 

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(Godzilla King of the Monsters)(2枚組)【帯&解説付輸入盤国内仕様】

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