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最強の魔獣、か弱き赤子────『クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-』感想

クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-

 『クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-』をみたので感想。

 5つの種族(人属)が住む大陸。大陸の外部への進出を阻む4体の魔獣王。その討伐のため派遣された、特別に鍛えられた武器、「至宝」をもつ12人の勇者だったが、魔獣王クレバテスの前にあえなく敗れ去る。人属に敵意ありとみなしたクレバテスは、勇者を送り出したハイデンの王とその都を侵略し、人属を滅ぼそうとするのだが、そこでの赤子との出会いが、魔獣王と人属の運命を分けることになる。

 『クーデルカ』、『Dimension W』の岩原裕二による漫画を、2010年代の『ウルトラマン』シリーズを支えてきた、特撮畑の田口清隆を監督に据えるという異色の布陣でアニメ化。アニメーション制作は『荒ぶる季節の乙女どもよ。』などをてがけてきた、ツインエンジン傘下のLay-duce。わたくしにとって岩原はなにより『DARKER THAN BLACK』のキャラデザの人なのだが、記号的なキャッチ—さのなかに強い意志を感じさせるキャラクターたちに、その大きな魅力があると思う。

 異世界転生ではなく直球のファンタジーで、1クールという短いスパンでありながら展開は二転三転し、かなりスピーディーに話が動くなという印象をもった。インターバル抜きで一気に走り抜けるような作劇が、このアニメの大きな魅力だろう。冒頭、勇者たちがあまりにも簡単に落命するさまは、あおきえい監督『喰霊-零-』を想起した。

 驚異的な力をもつ魔獣の王と、なんの力もない赤ん坊、そして魔獣王に屠られ生涯を終えたかに思われた女勇者という主人公たちの布陣もおもしろく、単に驚異的な力の化身と思われたクレバテスが、赤子と、それをとりまく人間たちと接することで変化していく、というストーリーテリングもおもしろくみた。

 この1期は魔獣王による侵略で傷ついたハイデンの都に、隙を狙って侵攻したボーレート軍の将軍、ドレルとの対決がクライマックスになる。このドレルは女勇者アリシアの父の仇でもあり、相当強力っぽい感じがしたので、決着自体は持ち越しになるのかなと予断をもってみていたのだが、この1期で始末をつけてしまったので結構驚いた。全編通して、お話がこういう驚きに満ちていたのがよかった。2期も楽しみです。