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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

超人とアメリカの影――『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』感想

コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ 第1巻 (特装限定版) [Blu-ray]

 

 『超人幻想 神化三十六年』を読んだ勢いで『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』1期を一気にみました。非常に楽しかった。これで2期はリアルタイム気味に追っかけられるし俄然楽しみです。以下適当に感想を。

   「神化」。我々の過去を構成する「昭和」という時代が、持ち得たかもしれない別の名前。その名を与えられた世界は、我々が持つ過去と非常によく似ている。ただ一点、我々がテレビという魔法のメディアを通して感じ取ってきた〈超人〉という存在が、「神化」の世界には強固に実在する、ということを除いては。

 遠く彼方から飛来した宇宙人からロボット警官に超能力者、魔法少女にお化けに妖怪にと、人ならざる力をもつ〈超人〉が跋扈する神化の時代を舞台に、超人を保護・管理する超人課の面々の活躍が描かれる。超人課の目を通して眺められる神化の時代。現実の歴史に〈超人〉たちの影がさし、もうひとつの昭和(神化)史が紡がれる。おおむね一話完結のエピソードが積み重ねられ、それぞれ我々がよく知るテレビの超人によく似た〈超人〉たちにまつわる事件が発生・解決するわけだけれど、時間軸を大胆に行き来する構成によって、現実と虚構が入り混じった架空の歴史のディティールが徐々に明らかになっていく、それが何よりわくわくした。

 我々が持つ過去。現実において堆積したそれと、テレビというメディアのなかに蓄積されたそれとが混然一体となり、現実を基盤としているけれども、それとは重ならない別の歴史が現前しているのだという感覚。「神化」の世界はフィクションとしての『ウルトラマン』も『鉄腕アトム』も、その他もろもろのものも持たないのかもしれないが、それは歴史の現実と混ざり合って確かに存在している。まったくの架空というわけではないけれど、現実というわけでもない、そんな歴史の姿がなによりこの作品の魅力だと思った。

 その架空の歴史は、厚生省の外郭団体である超過人口審議研究所=超人課の面々から眺められるがゆえに、政治の世界の出来事が大きな存在感をもつ。昭和世界でも大きな影響力をもったアメリカは、神化においても同様に大きく政治を規定するアクターとして存在する。吉見俊哉は日本にとってのアメリカを二つのイメージによって分節する*1。それは米軍基地やそれに駐屯するアメリカ兵に代表される「基地(暴力)のアメリカ」と、映画やテレビドラマ、音楽、そしてディズニーランドなど大衆文化を媒介とした「テーマパーク(消費)のアメリカ」であるのだけれど、『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』において前景化するのは前者のアメリカ。かつての戦争と密接に結び付いたアメリカの影が、政治の場を、そして〈超人〉をも否応なしに規定する。

 そんな現実政治との結びつき故に、〈超人〉の正義はひどく曖昧なものでしかない。「たった一つの答えなんてないんだ」。神化48年の風郎太は、かつては正義の超人と悪の超人ははっきり分けられたはずだと嘆くけれど(2話「『黒い霧』の中で」)、それは風郎太がかつてそのことに気付かなかっただけで、もともと〈超人〉は灰色の道を行くしかなかったのだ。

 それでも。それでも〈超人〉の正義を信ずる人吉爾朗は叫ぶ。

「それでも、俺は信じたい。子供の頃にあこがれた超人たちのような存在が、どこかにいる。俺は、せめてその人たちを守れるような、正義の味方のなるって!」

 怪剣クロード=長川神はそれを「決して実現できない夢や理想」すなわち「幻想」だという。それに対して爾朗は言葉を返さないのだけれど、それは「幻想」だろうがなんだろうが、そんなことは関係ない、そういう場所に彼が立っているからだろう、と思う。こうして「正義の味方」の場所に立つ物語が、1期を通して語られたのだろうと思うのだけれど、結末で、人吉爾朗の物語の始まりが、1945年8月のあの場所であることが明らかになる。いわば人類の究極の負の遺産とでもいうべきものを背負う「正義の味方」。あの大怪獣を想起せざるをえない、人吉爾朗の物語がどのような結着をみるのか、それが非常に楽しみです。

 

「夢の時代」と〈超人〉

 コンレボの主要な舞台となる時代はおおむね神化41年~48年=1966年~73年くらいだろうと思うのだけれど、見田宗介の区分を参照する*2と丁度「夢の時代」とその終わりごろと対応するなーと。

  • 理想の時代 (1945-60 年ごろ、プレ高度成長期) 
  • 夢の時代 (1960-73年ごろ、 高度成長期) 
  • 虚構の時代 (1970年代後半から、ポスト高度成長期 )

 1期のクライマックスは学生運動が世界的な盛り上がりをみせた1968年におかれたわけだけれど、『THE LAST SONG』はどこを終着点とするのだろうなーと。学生運動と対応するならば、やはりあさま山荘事件が起きた1972年が強烈なターニングポイントになるのでは?なんて思ったりもするんですが。

 

関連

 人吉爾朗、『超人幻想 神化三十六年』の狂言回しである木更嘉津馬と〈超人〉にたいするスタンスは結構重なるのでは?とか思いました。普段から超人と接する爾朗と、そうでない嘉津馬とでは距離感は全然違うとも思うわけですが。

 

TVアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」神化・傑作曲集

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アメリカの影 (講談社文芸文庫)

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【作品情報】

‣2015年

‣監督:水島精二

‣原作:BONES會川昇

‣脚本:會川昇辻真先(9話)

‣キャラクター原案:いとうのいぢ氷川へきる、平尾リョウ

‣キャラクターデザイン・総作画監督伊藤嘉之

‣音楽:石濱翔、帆足圭吾、山本陽介、ZAQ

‣アニメーション制作:ボンズ

 

*1:吉見俊哉『親米と反米―戦後日本の政治的無意識』

*2:見田宗介社会学入門―人間と社会の未来』など。

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