吉田裕先生最終講義「自分史の中の軍事史研究」に行きました。誘ってくれた後輩氏に感謝です。
『日本軍兵士』で(たぶん)めっちゃ有名になった吉田裕の最終講義に行きました。会場は比喩ではなく超満員で、500部のレジュメは速攻売り切れ、二階席まで開放しないと収容できないという盛況ぶり。
「自分史の中の軍事史研究」という演題で、ご自身の幼少期からいわゆるミリタリーカルチャーとどのような接点をもってきたのか、というのが主要な論点だったと思います。伊藤正徳・高木惣吉監修、秋永芳郎・棟田博著『ジュニア版太平洋戦史』(ぐぐってみたら都内の公立図書館にはあんまり所蔵されておらず。そりゃそうか。)を熱心に読んでいたこと、サンデー・マガジンなどがスポ根もの以前は旧日本軍の飛行機なんかを推してたことなんかが特に印象に残っています。平和主義とミリタリーへのあこがれが素朴に矛盾なく共存する、という仕方は、たとえば宮崎駿のなかにみてとることができる両者の緊張関係は、戦中世代にユニークなものなのかも、という気がなんとなくします。
業績紹介の中野聡の整理もお見事で、「昭和天皇」「戦争責任」「戦争観」そして「戦争のリアル/戦場のリアル」の4点が歴史家としての吉田の関心の焦点である、というのはにゃるほどなあという感じ。今後は東京裁判の研究、ないし『日本軍兵士』をよりアップデートするような仕事をした、ということで、歴史家としての吉田氏がこれからも信頼できる仕事を重ねていかれることを、祈ってます。