『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のおかげでにわかにガンダム熱が高まり、劇場版『機動戦士ガンダム』を再見したのだった。
人々が宇宙に浮かぶスペースコロニー暮らすようになって半世紀以上が過ぎた、宇宙世紀0079年。地球から遠く離れたサイド3に位置するジオン公国は地球連邦に宣戦布告。宇宙と地球は両陣営が戦火を交える舞台となり、国力で劣るジオン軍は巨大人型兵器モビルスーツを開発し、地球連邦軍と互角以上にわたりあっていた。開戦から半年以上が経過したあるとき、中立のコロニー、サイド7で、地球連邦軍が極秘裏にモビルスーツを開発しているとの情報をキャッチしたジオンのシャア・アズナブル少佐は、部下をコロニーの偵察に差し向ける。そこで部下たちが目撃したのは、戦争の趨勢を左右するであろう、超高性能のモビルスーツ、ガンダムであった。
1979年から翌80年にかけて放映された『機動戦士ガンダム』の映画化。監督は富野喜幸、藤原良二の2名がクレジットされている。1981年に公開されたこの劇場版のヒットによって、『機動戦士ガンダム』の名はある種の金字塔となった...という理解でよいだろうか。その後、続編として『哀・戦士編』・『めぐりあい宇宙編』が制作され、いわゆるファースト・ガンダムの劇場版三部作は完結する。
この劇場版第1作では、TVシリーズの14話までの挿話を中心に編集され、「ガンダム大地に立つ!!」からシャアとの戦闘、ガルマ・ザビの死、母との再会と別離を経て、ジオン総帥ギレン・ザビによるガルマ追悼演説で幕となる。見返して、改めて富野由悠季の手腕(といっておそらくよいのだろう)による編集の巧みさが大きな魅力だと感じた次第。TVシリーズのエピソードを取捨選択しつつ、戦争映画としてまとまりのあるものとして提示しているところに、編集の見事な成功を見て取ることができよう。富野由悠季による編集の技量で言えば、劇場版『Zガンダム』の2作目とか、劇場版『∀ガンダム』とか、必ずしも成功していないものもあるように思うが、この『機動戦士ガンダム』は冴えに冴えている。
わたくしの記憶では、この1作目はのちの『哀・戦士編』・『めぐりあい宇宙編』と比べて一枚落ちるという印象を持っていたのだが、確かにガルマの死のあとやや停滞する印象はあっても、2時間17分という短くない尺で緊張感を持続させることに成功していると思う。
人型の巨大ロボットをリアリスティックな戦争のなかに持ち込むこと、かつその戦いを外連味たっぷりに描写すること、というのはTVシリーズが見事に達成したことではあるが、この劇場版でもその驚きは十二分に感受することができ、たいへんおもしろくみました。