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軽やかな異類婚姻譚────『ChaO』感想

「ChaO」ARTBOOK

 『ChaO』をみたので感想。

 人魚たちが海で暮らし、陸上の人間と共存を目指している世界。上海の造船会社に勤める平凡な青年、ステファンは、なるべく魚や人魚に害を与えない、エアージェットの船を構想するも、会社の中ではまったく認められずにいた。しかし、突然あらわれた人魚姫に見初められ、そのフィアンセとなったことで、人類と人魚の懸け橋として世界中から注目を集め、エアージェットの計画もトントン拍子に具体化することになる。陸と海の文化のちがい、人魚姫、チャオの奔放さに翻弄されながらも、夢に向かって邁進するステファンだったが、思いもよらない事件が起こり…。

 『鉄コン筋クリート』、『海獣の子供』など、その個性を強く印象付けるアニメーションを世に送り出してきたSTUDIO4°Cによる、オリジナルアニメ映画。小島大和によるキャラクターデザインは、いわゆる流行のテレビアニメの記号化されたものとは一線を画す、小さい目にラフな描線が特徴的な、いかにも個性派といった構え。上海を舞台にしているが、そのインターナショナル性が強調された無国籍風の美術も魅力的で、日本のアニメーションの懐の深さを感じさせる一本である。

 とにかく全編にわたって作画がさえわたり、画面をみていて退屈になる瞬間は皆無といっていい。小島大和のデザインしたキャラクターはかなりファジーで大胆に動くが、まさにそのためにデザインされたであろうというもの。陸に上がると魚になってしまう人魚姫、チャオは、そのむちむちとした魚類の身体をコミカルに動かしていてとてもキュート。現代のティピカルな萌えアニメとはまったく別の種類の可愛さを振りまいている。

 お話としては、異類婚姻譚を扱ったラブコメディで、近年のアニメ映画だと『崖の上のポニョ』や『夜明け告げるルーのうた』などが想起されるが、それらとの差分はいい意味での軽さを作品がまとっていることだと思う。主人公のステファンの動機や、チャオの不可解な行動の理由が、主人公が(ある時点まで)忘却していた過去の記憶によって説明されるという仕掛けは結構安易だと感じたが、チャウ・シンチー風味の軽やかさがそれを作品の傷と感じさせないところがこの映画の美点だと思う。