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生き返るな――『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』感想

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け オリジナル・サウンドトラック(限定盤)

 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』をみたんすけど、深く失望しました。

  僕は『最後のジェダイ』に際しては(そのしょーもない中だるみはさておいて)もううれしくなって快哉を叫んでしまった人間なのですけど、それは『最後のジェダイ』が、この三部作が、ひいてはスターウォーズというシリーズが、「黄金時代の後」の「使いまわし」にすぎないことを真っ正面から引き受けて、それでも新たな物語を語らねばならない、そうした使命感を強く感じたからなんすね。そして我々もまた、「黄金時代の後」に「使いまわし」のフェイクの時代を生きていることは明らかなので、だからこそ、時代遅れのスター・ウォーズが逆説的に強烈なアクチュアリティを帯びうるのだと思ったのですよ。

 この「黄金時代の後」という時期を象徴する我々の似姿ともいえる男がカイロ・レン=ベンなのであり、ジェダイにもシスにもなれない彼の「何物にもなれなさ」はすなわち我々の我々性でもあると思うわけです。だから、ルーク・スカイウォーカーといういわば黄金時代の最後の残滓のような男が退場したことで、いよいよ本当の黄金時代の後の物語が語られると思うわけじゃん。でもそしたらパルパティーンが復活したとかいうわけじゃん。いいんだよそういうのは。生き返るなよ。僕の言いたいことは結局そういうことです。生き返るな。