宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2021年4月に読んだ本と近況

末法~。

先月の。

2021年3月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

 印象に残った本

  一冊選ぶならクイーン『十日間の不思議』。

amberfeb.hatenablog.com

 

読んだ本のまとめ

2021年4月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4831ページ
ナイス数:136ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly

 

 ■災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 アメリカの地方都市を舞台にした雰囲気にどことなく横溝正史風味を感じる。本書が書かれた当時の空気を伝える第二次世界大戦の影が、ある種の好況として描写されるのが興味深い。
読了日:04月08日 著者:エラリイ・クイーン
https://bookmeter.com/books/9034198

 

 ■断言 読むべき本・ダメな本―新教養主義書評集成・経済社会編 (ele-king books)
 わたくし山形浩生のファンなので本書所収の書評はあらかた読んだことあったんですが、こうして分野ごとにまとまっていると参照しやすくてよいです。ただ目次に書名まで記載してくれると書評集としてのありがたみは増すと思うのですが…。
読了日:04月10日 著者:山形 浩生
https://bookmeter.com/books/15088387

 

 ■スター・ウォーズによると世界は
 『フォースの覚醒』公開後に、アメリカの著名な法学者によって書かれたスターウォーズ大好き本。法学的な知見が全面に展開されているわけではなく(続編がいかに拘束されあるいは自由でありうるかを憲法解釈に擬えて議論したりもするのだけど)、制作過程や成功の要因などをさまざまな学問的知見を引用しつつ自由自在に語る、訳者解説にあるように「ユニーク」としか言いようがない本。わたくしは『スカイウォーカーの夜明け』に本当に失望したんだけど、サンスティーン氏はどうだったんでしょ。
読了日:04月11日 著者:キャス・R. サンスティー
https://bookmeter.com/books/12454033

 

 ■広島平和記念資料館は問いかける (岩波新書 新赤版 1861)
 同記念館の前館長が、近年のリニューアルまで含めた平和記念館の整備の道程を語る。特に興味深く読んだのは、一時期、原子力の平和利用も展示内容に含まれていたという点。現在の我々からすると隔世の感ありだが、そうしたある種の科学技術信仰の時代の雰囲気を強く感じる。
読了日:04月11日 著者:志賀 賢治
https://bookmeter.com/books/17060856

 

 ■フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 地道な過去の掘り返し、ミスリードを露骨に誘う不審人物、そしてラストの急転直下。終盤でよどみなく新たな登場人物を舞台にあげてしまう豪腕ぶりに脱帽ですわよ。
読了日:04月13日 著者:エラリイ クイーン
https://bookmeter.com/books/16898240

 

 ■十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 探偵の正しさを保証するのはなにか?探偵が神の如き男と対峙した果てに究極の敗退を喫するこの作品が、法月綸太郎らに与えた影響の大きさを改めて感じました。
 読了日:04月17日 著者:エラリイ クイーン
https://bookmeter.com/books/17498421

 

ポストモダン建築巡礼 1975-95 第2版

ポストモダン建築巡礼 1975-95 第2版

 

 ■ポストモダン建築巡礼
 本書が扱うのは1975年から1995年までの20年間。模索期、隆盛期、爛熟期に分節。気になった建築をメモったので、まあすぐなくなるということもないでしょうし、機会をつくって見に行きたいものですわね。
読了日:04月17日 著者:磯 達雄
https://bookmeter.com/books/4016013

 

夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)

夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)

 

 ■夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)
 どことなく吉田篤弘風味な舞台装置…と思ったがだいたい同時代っぽいので、ゼロ年代のある種の時代精神みたいなものを感じます。コミケが注釈なしで出てくる小説を大江健三郎が読んでるってのがちょっとおもしろい。文庫本はその大江が書いてる解説が付されていて大変お得感ありです。
読了日:04月18日 著者:長嶋 有
https://bookmeter.com/books/541377

 

新装版 密閉教室 (講談社文庫)

新装版 密閉教室 (講談社文庫)

 

 ■密閉教室 (講談社文庫)
 語りや比喩の具合がどことなく村上春樹風味なのは時代の空気を強く感じる。デビュー作には作家のすべてがある、というのは陳腐なクリシェだが、法月綸太郎という作家が探偵のありように強く拘っていること、探偵の拠って立つ足場の脆さへの意識は、その後もテクストを規定しているよなと思う。
読了日:04月18日 著者:法月 綸太郎
https://bookmeter.com/books/535882

 

UFOとポストモダン (平凡社新書)

UFOとポストモダン (平凡社新書)

  • 作者:木原 善彦
  • 発売日: 2006/02/11
  • メディア: 新書
 

 ■UFOとポストモダン (平凡社新書)
 我々の社会を映す鏡としてのUFO神話。その変遷から、近代というプロジェクトとその放棄をみてとり、さらにその後裔としての疑似科学テロリズムにかかわる陰謀論まで論じる。大澤真幸東浩紀の示した大きな見取り図にのりつつ、様々な近代論を援用して議論を進める。我々がいま直面する陰謀論の跋扈するサイバースペースは、エイリアンの残響なのか否か。
読了日:04月20日 著者:木原 善彦
https://bookmeter.com/books/459432

 

となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

  • 作者:三崎 亜記
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: 文庫
 

 ■となり町戦争 (集英社文庫)
 寓話というには抽象度が低く、かといってディテールの書き込みも甘く、感傷に寄りかかることでしかドラマを駆動し得ていない。透徹したリアリズムで虚構を書き切る腕力に欠けていることを自覚し寓話的な仕掛けを導入したのかもしれないが、うまくいっていない。山形浩生は本書を評して「市役所の仕事をちゃんとしろ」とくさしていたが、それはほんとうにその通りで、役所勤めなのに役所の書き込みの薄っぺらさは怠惰そのものだと思いますけど。
読了日:04月22日 著者:三崎 亜記
https://bookmeter.com/books/577221

 

 ■暴君――シェイクスピア政治学 (岩波新書)
 シェイクスピアの作中に登場する暴君の表象を読み解く。序盤のセクションで、シェイクスピアが実際に生きた時代との緊張関係みたいな挿話があって強く印象に残ったのだが、中盤以降はそうした調子が後退してストイックな読解が前景化する。おそらくある程度独立して発表されたエッセイをまとめた書籍なのではと推察するが、そこらへんの事情を紹介してくれたりはしない不親切さよ。岩波書店、しっかりしやがれですわよ。
読了日:04月23日 著者:スティーブン・グリーンブラット
https://bookmeter.com/books/16499480

 

プレモダン建築巡礼

プレモダン建築巡礼

  • 発売日: 2018/04/19
  • メディア: 単行本
 

 ■プレモダン建築巡礼
 明治期から昭和初期までの名建築をたずねる。流石にこのあたりの時期の建築は歴史的遺産の雰囲気を強くまとっているわね。このシリーズでいちばん刺激的だったのは昭和編かもですね。
読了日:04月23日 著者:
https://bookmeter.com/books/12778385

 

マキァヴェッリ: 『君主論』をよむ (岩波新書)

マキァヴェッリ: 『君主論』をよむ (岩波新書)

 

 ■マキァヴェッリ: 『君主論』をよむ (岩波新書)
 融通無碍に読まれてきた感のあるマキャヴェリの思想を、当時の時代、書かれた状況に即して丁寧に解説する。『君主論』は君主一般についての書物というよりは、都市国家が並立するなかでの基盤の脆弱な新君主を対象にしたもので、また対象とするメディチ家の人物が変わるにつれ内容も変化したと思われる、というのはにゃるほどにゃんねという感じ。我田引水のマキャヴェリ論への、専門家のカウンターアタックという趣。
読了日:04月24日 著者:鹿子生 浩輝
https://bookmeter.com/books/13748035

 

遅いインターネット (NewsPicks Book)

遅いインターネット (NewsPicks Book)

 

 ■遅いインターネット(NewsPicks Book)
 物事の新しさを殊更に言い立てる書き手は、おおよそ無知ゆえにそのような語りを出力してしまうと思うのだけど、まさにその典型が宇野常寛であって、本書がやたらと言い立てる「現在」の新しさを我々は当然疑うべきなのだが、結部で自身のオンラインサロンへの勧誘を始めるにいたって、本書そのものが本書の疑わしさを明らかにしてくれる。それは良心のなせるわざというよりは単なる厚顔無恥なのだろうが、東浩紀の土俵で縮小再生産を繰り返しやがてはカルトの立ち上げに至った著者のテクストに付き合わされた時間の無為さに怒りが込み上げる。

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読了日:04月24日 著者:宇野 常寛
https://bookmeter.com/books/15291258


読書メーター
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