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怪獣だいすき——映画『モンスターハンター』感想

モンスターハンター

 映画『モンスターハンター』をみました。大変たのしゅうございました。以下感想。

  見知らぬ世界。我々の世界ではとうに滅びた恐竜が、この世界では我が物顔で闊歩しているようだ。突如この世界に舞い込み、そして戦友を失った女が、元の世界に戻るためのサバイバルに挑む。

 カプコン製作の大ヒットシリーズの実写映画化。監督は同じくカプコンのゲーム『バイオハザード』シリーズの実写化を手掛けたポール・W・S・アンダーソンで、同作において主演を務めたミラ・ジョヴォヴィッチとまたもやタッグを組んでいる。

 国連軍兵士が異世界に飛ばされる、という『戦国自衛隊』的シチュエーションの大胆さは、ゲームシリーズのファンを戸惑わせるものかもしれないが、結果として極めてクレバーな判断だったと思う。主人公のアルテミスの目的はなにより現実世界への帰還であって、その目的ゆえに旅のルートは極めてシンプル。人界から隔絶された砂漠と、道中のオアシス、そして異界へつながるという塔でドラマは完結する。

 異世界のほんの一部しか画面に映し出さないことによって、舞台のつくりもの感は巧妙に隠蔽されている。「つくりもの」感を後退させる方策として、それこそ『ロード・オブ・ザ・リング』的に詳細な設定を背景としてディティールを無尽蔵に積み上げるという方策もありえようが、ジャンル映画的な快にあふれるこの映画にとってそのような選択肢をとることはむしろネガティブな効果をもたらしただろう。たとえば『モータル・エンジン』の明らかな欠陥はその「つくりもの」感を隠しきれなかった演出にあると思う。

 異世界という舞台についても驚くほど誠実に処理していて、トニー・ジャー演じるハンターの男とは言葉すら通じないまま意思疎通をはかっていく展開には率直にいって驚かされた。しかもそれをストレスを感じない程度の塩梅でやっていく手際もまたよい。いかにも歴戦の古強者であり、しかしユーモアを忘れないこの男の顔の圧倒的な説得力!ロン・パールマンの流暢な英語はまあご愛敬ということで...。

 さて、この映画の最高ポイントのひとつはドラゴンと現代兵器のガチンコにあることは疑いがなく、明らかにこの画を撮りたいがために『戦国自衛隊』的仕掛けを用意したのではないか、とすら思う。「強さ」の演出として、これはやっぱり圧倒的な説得力があるわね、と感心しました。人間をひとりふたり蹴散らしたところでやっぱり迫力に欠けるわけです。最初に戦うディアブロスも、ラスボスのリオレウスも、それぞれ現代兵器を圧倒するシークエンスが盛り込まれていて、この「怪獣映画」をわかってる感がほんとうによい。というわけで、怪獣大好きなみなさんは見に行くとよいです。ゲームについて知らなくてもぜんぜん楽しいと思う。

 

 

モンスターハンター

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