『アントマン&ワスプ:クアントマニア』をみました。以下、感想。
アベンジャーズの一員として世界を救ったアントマンことスコット・ラングは、ヒーローとして市井の人々に親しまれたりしなかったりしつつ、平和な日常を送っていた。そんな折、娘と義理の父、妻らが開発した、量子世界との通信装置が思わぬ事態を引き起こし、家族一同、量子世界へと引きづりこまれてしまう。その摩訶不思議な世界では、征服者を名乗る男が、いままさに恐怖支配を確立しようとしていた。その名はカーン。アントマンの義理の母、ジャネット・ヴァン・ダインはなにやらその男と因縁があるようだが…。
『アントマン』シリーズの3作目にして、マーベル・シネマティック・ユニバースの31作目は、『ドクター・ストレンジ』の最新作でも話題になった並行世界=マルチバースの存在が前景化する、新たなフェーズの導入といった位置づけだろうか。異形の人型存在たちが跋扈する世界は『スター・ウォーズ』を思わせるが、そのような異世界を舞台にしているので、これまでシリーズを盛り上げてきたマイケル・ペーニャらアントマンの悪友たちはまったく登場しない。彼らによって発生していたにぎやかな雰囲気は、もしかしたらエドガー・ライトやアダム・マッケイら、第1作目で脚本にクレジットされていた面々の個性だったのかもな、といまさらながら感じる。
異世界の描写は先に述べたように既視感ありありで新味は薄いが、今回の悪役、征服者カーンが到底アントマンの手に負えなさそうな感じの強さで、それをちゃんと倒すので、少年マンガ的な快にあふれていて結構好き。最強にみえる反応速度・正確な認識能力も、数の暴力の前には無意味…という身も蓋もない倒し方は潔い。解放軍がなだれこむクライマックスも、『スカイウォーカーの夜明け』では興ざめもいいところだったけれど、まあ『アントマン』だし、いいか…という気持ちになる。このくらいの規模感の手堅い娯楽映画だと、まあ今後も追っていってあげてもいいかなという感じでほだされるわね。