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テーマパーク、時の試練────『甘城ブリリアントパーク』感想

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 『甘城ブリリアントパーク』をみたので感想。

 東京都西部にある、さびれたテーマパーク、「甘城ブリリアントパーク」。元売れっ子子役の高校生、可児江西也は、転校してきた美少女、千斗いすずに銃で脅迫され、そのテーマパークの支配人代行を依頼される。3か月後までに課された来場者数のノルマを達成しなければ閉演を余儀なくされるというこのパークは、実は魔法の国の妖精たちによって運営されていた。可児江は甘城ブリリアントパークを救うことができるのか。

 『フルメタル・パニック!』の賀東招二による同名ライトノベルを、京都アニメーションがアニメ化。放映は2014年。もう10年前なんですね、ビビる。監督は故・武本康弘で、武本は賀東がシリーズ構成・脚本を務めた『氷菓』でも監督を担っていたが、その縁があったのだろうか。そもそもこの作品のアニメ化を京都アニメーションがてがけること自体が、その縁によるところが大きい気もしてくる。

 原作のイラスト、なかじまゆかをもとに門脇未来がキャラクターデザインを担当しているが、ヒロインたちはある種典型的な美少女然としていて作画も全編通して安定しており、京都アニメーションの丁寧な仕事ぶりが光る。

 一方で、お話はというと、2014年時点でもフレッシュではなかったと思うが、2024年のいまみると一層古びて感じられる。ジャンルとしてはコメディに分類するのが適当だと思うのだが、かわいらしい着ぐるみのキャラクターは実際は妖精の下卑たおっさんだったり、女性従業員へのセクハラの機会を狙う禍々しい幼稚園児等々、ギャップでおかしみを演出しようとしているのだろうが、(放映当時もそうだったかもしれないが)いまながめると安直な逆張りという感じで、おもしろみというよりも単純な不快感を喚起するものになってしまっている。

 主人公の元子役という設定や、授けられた読心術のような魔法の力もドラマのなかで効果的に機能しているようには思えない。ヒロインのキャラクターづけもある種の典型の域を出ておらず、ユニークな魅力に乏しい。はっきりいえば、作中のテーマパークが開始時点でそうだったように、この『甘城ブリリアントパーク』もまた、時の試練に敗北しているように思えた。京都アニメーションの手堅い仕事ぶりを眺められるという意味では眼福ではあるのだが…。

 

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 事前情報をぜんぜんいれずに視聴したので、最初『花咲くいろは』とか『SHIROBAKO』みたいな超現実的なものがでてこないお仕事ものかと思ってたんですが、魔法とか妖精とか出てくる系だったので素朴にびっくりしたというのはありますね。

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